その他
SaaS提案の近道 地道な啓発活動を踏まえて
2011/03/03 14:53
週刊BCN 2011年02月28日vol.1372掲載
近年、大手コンピュータメーカーやSIerが中堅・中小企業(SMB)向けのサービス事業を強力に推進している。とくに活発な動きが目につくのは、富士通やNECに代表される国産の大手コンピュータメーカーの動きである。SaaSアプリケーションを拡販するため、全国に広がる数百、数千の販売店・系列店の流通網を活用し、これらパートナーにPaaS/IaaS環境を提供して迅速にSaaS事業を立ち上げられるように支援体制を築いている。
こうした情勢のなかで、大手SIerの興味深い動きとして、日本ユニシスの取り組みが挙げられる。同社は、ベンダーのSaaS事業開始を支援するビジネスパークを運営。他社と同様にプラットフォームを用意しているほか、ポータルサイトにベンダー各社のSaaSアプリを一覧で掲載したり、参加企業を中心にビジネスマッチングや情報交換ができる交流会を開催したりしている。
大手コンピュータメーカーと異なり、同社の販売チャネルは限られている。ベンダー各社のSaaSアプリの再販を担うような代理店制度は設けていない。ちなみに、ラインアップされているSaaSアプリのほとんどは自社開発のもので、参加ベンダーは20社程度である。「選りすぐりのアプリケーションだけを集めている」とは、同社の杉山陽一朗・ICTサービス本部サービスビジネス部2グループ主任の説明。「来年にはアプリのラインアップを百数十にまで拡充していきたい」としている。
注目したいのは、「ビジネスパークから派生した“サブパーク”」(掛谷雅人・ICTサービス本部サービスビジネス部2グループグループリーダ)である製造業支援SaaS普及協会で、業種・業界向けに特化した組織だ。さらに、まだ公表はしていないが、他の業種向けについても同様に業種・業界に特化した動きをみせている。中小企業との結びつきが強いITコーディネータと連携しており、「業務効率の改善」「企業の活性化」を企業に訴求している。
調査会社ガートナージャパンの分析によれば、SMBにおけるSaaSの潜在ニーズは高いが、それがそのまま実需に結びついていない状況がある。別の調査会社ノークリサーチの岩上由高シニアアナリストが「技術的な観点ではなく、業種・業界別に特化したサービスの訴求が重要となってくる」と指摘するように、ITと業務改善を結びつけて連想しやすい業種別ソリューションの打ち出し方はSMBに響きやすいだろう。
とはいえ、SMB市場でSaaSを浸透させていくのは、ひと筋縄ではいかないはずだ。もともと官主導だったJ-SaaSの不調がそれを物語っている。ITで業務改善の視点を通じて、地道にSaaSの認知度・理解度の向上に努める啓発活動が求められる。(信澤健太)
近年、大手コンピュータメーカーやSIerが中堅・中小企業(SMB)向けのサービス事業を強力に推進している。とくに活発な動きが目につくのは、富士通やNECに代表される国産の大手コンピュータメーカーの動きである。SaaSアプリケーションを拡販するため、全国に広がる数百、数千の販売店・系列店の流通網を活用し、これらパートナーにPaaS/IaaS環境を提供して迅速にSaaS事業を立ち上げられるように支援体制を築いている。
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