新潟県を本拠地としてSI事業を手がけるエイチ・アイ・シー(岸野裕代表取締役)では、2009年5月から提供を開始したPaaSサービス「SecureRDP」が時流に乗り始めている。中小企業をはじめ、大企業の部門などがサービスを導入。今後は、全国にわたる販社網を形成することで、3年以内に1000サーバーの獲得を目指す。

販社増強で1000サーバー獲得へ

岸野裕・代表取締役
 エイチ・アイ・シーがサービスを展開する「SecureRDP」は、ユーザー企業が業務で活用しているアプリケーションを、そのままデータセンター(DC)に移行できるもの。中小企業などが基幹システムを簡単に預けられるのが特徴となっており、最大の売りは月額5万7000円からと低額の利用料金に設定していることだ。

 サービスを開始した経緯について岸野代表取締役は、「04年7月の新潟豪雨災害で多くの顧客が大きな被害を受けた。当社も被害を受けたのをきっかけに、災害時にも重要な業務データを守ることができる仕組みが必要と考えた」としている。その後、ユーザー企業がまるごと基幹システムを預けられるサービスを企画。DC事業者として、ITシステムの運用管理・保守、アウトソーシング事業などを手がけるSKサポートサービスとアライアンスを組むことで、昨年5月からサービスを提供することになったという経緯がある。

 中小企業や大企業の部門単位に導入が進んでおり、さらにユーザー企業を増やしていくため「SIerを中心に、販売パートナーを全国網に広げていきたい」との考えを示している。現段階で販社数は10社弱。首都圏が中心で、「今後は、各都道府県に1社のSIerとパートナーシップを組めるように策を講じていく」という。全国で販社を確保することで、「3年以内に1000サーバーを獲得する」方針だ。

 地方では、ハードを中心に販売していたSIerがリプレース需要の減少で厳しい状況に陥りつつある。一方、地方のユーザー企業は、ITシステムをリプレースしなければならないと考えながらも大不況の影響で出費を抑えなければならないというジレンマを抱えている。こうした状況のなか、利用料金が安いPaaSサービスは中小企業のIT化を促進させる可能性を秘めている。実際、ユーザー企業のなかには、スポーツ卸事業者のクレブが「SecureRDP」の導入によって業務効率化を図ったほか、業績伸長の効果があったという。中小企業をユーザー対象とするハード販売が主体のSIerにとっては、ビジネスモデルを変革させるきっかけになるといえそうだ。(佐相彰彦)