2010年も、中堅・中小企業(SMB)のIT投資は厳しい状況だ。2010年2月に実施したIT投資意欲指数調査では、『IT投資DI』(※1)はマイナス17.5と、依然として縮小方向の値を示している。

(※1:2010年3月以降のIT投資額が2009年11月ー2010年2月の投資と比べてどれだけ増減するかをたずね、「増える」という回答比率から「減る」という回答比率を引いたもの)

 とはいえ、いつまでもIT投資を凍結したままというわけにはいかない。実際、2009年11月と比較すると、IT投資DIの値は改善してきており、投資の理由として、クライアントPCの入れ替えや基幹系システムの更改を挙げるユーザー企業が多い。システム更新を後回しにしてきたものの、さすがにこれ以上は延ばせない状況になっているわけだ。

 更新需要とはいえ、それなりの予算は必要だ。不況下で必要な費用を捻出するためには、どこかを削らねばならない。そこで、年商5ー500億円の中堅・中小企業1600社に対して「2010年中に投資を抑える予定の項目として筆頭に挙げられるもの」をたずねた結果が以下のグラフである。
 

2010年中に投資を抑える予定の項目として筆頭に挙げられるもの

 いずれの年商帯でも、「IT関連担当人員の増強」への投資を減らすという回答の比率が高くなっている。ハードウェアなど、削減対象となる項目はすでに出尽くしている。さらなる削減のためには、「ヒト」の領域に踏み込む必要があることを示した結果といえるだろう。

 この結果で捉えられるもう一つの観点がある。それが、「クラウドを活用すれば、情報システムをお守りするIT関連担当人員は必要なくなる」というものだ。確かに社内で運用していたサーバーが手元から離れれば、それを運用管理していた人材の労力は不要となる。ITコストを少しでも削減したい経営者にとっては、魅力的な提案に映るだろう。

 安価なクラウド関連サービスも数多く登場し、利用料金だけをみれば中堅・中小企業にとっても十分利用可能な金額レベルとなっている。こうした背景を根拠に、「クラウド時代に情シスは不要。経営者は自社の業務だけに集中し、ITはすべてクラウドに任せればよい」といった「情報システム部門不要論」が唱えられることがある。果たして本当にそうなのだろうか? この定石を再考する。

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