日本IBM(橋本孝之社長)は、今年度(2011年12月期)を「ソーシャル・ビジネス元年」と位置づけ、同社のグループウェア「Lotus Notes/Domino」事業でパートナーとの協業を強化している。上期後半から下期以降は、最新のミドルウェアや開発ツールなどを利用して、Lotus Notes/Dominoを単なるグループウェアから統合コラボレーションツールに進化させる方策をパートナーに提供する。また、ソーシャル・ネットワークやモバイル端末、クラウドコンピューティングと連携させる技術的な支援プログラムや開発ツールを提供。「Lotus大感謝祭」と銘打って、従業員1000人以下の顧客向けライセンスを半額程度に引き下げるなど、積極策を打ち出している。(取材・文/谷畑良胤)
2010年はNotesが急成長  |
伊藤瑞穂 ロータスパートナー営業部長 |
日本IBMによれば、2010年度の「Lotus Notes/Domino」事業は、前年度を上回る伸びを記録した。とくに「旧バージョンから最新のバージョン8.5以降へのバージョンアップが進んだ」(伊藤瑞穂・ロータス事業部ロータスパートナー営業部長)という。
グループウェアやワークフロー、コラボレーション関連の製品を出すマイクロソフトなど、国内ソフトウェアベンダーの多くがNotes顧客をターゲットにした「Notes移行プログラム」を強化している。しかし、「iPhoneなどのスマートフォン連携やLotus Connectionsを活用して異なる拠点間をコラボレーションするチーミング事例など、Lotus Notes/Dominoとの連携で顧客に付加価値を提供することができた」(同)と、他社製品へのリプレースは少なかったことを強調する。
そこで今年度は、「Get Social Do Business」と題して、最新の「Lotus Notes/Domino」や「LotusLive」などを利用して企業内の個人や組織の生産性向上、他社との関係強化などを目的に、ソーシャルネットワークを軸として実現する方法をパートナーと共同で顧客に提案するための施策を打ち出している。
ソーシャル開発のツールを豊富に 日本IBMは、2月、次世代のソーシャル・アプリケーション開発を支援する新しいフレームワークと、それを実現するソフトを発表した。例えば、「Lotus Notes」の受信ボックスに、TwitterやFacebook、協業ソフトウェアベンダーが開発した業務アプリケーションなどをまとめて閲覧することができる「Activity Streams」を追加した。
また、ビジネス・ソーシャル・ソフト開発を支援する「IBM Social Business Toolkit」をパートナーなど開発者に提供する。このツールキットは、オープン・スタンダードのAPIとチュートリアルがセットになっている。これを使えば、Wikiやブログ、ディスカッション用の機能などソーシャル・ネットワーク機能を、ソフトベンダーなどが自社製品に統合することができる。
日本IBMのロータスパートナー営業部ではこれらツール類に加えて、「知ってみよう」「使ってみよう」「作ってみよう」「プロモーションしてみよう」の四段階で、パートナーの提案力を高める施策を用意している。同社が展開する「IBM早わかりセミナー」の「Lotusセッション」では、iPhone/iPadなどで利用可能なLotusソフトを紹介するなど、モバイル最新事情の情報提供のほか、ソーシャル・ネットワークをビジネス上で利用した成功例を紹介している。
移行のインセンティブを2倍へ こうしたセミナーを受講したパートナーに対しては、ソフトバンクモバイルと連携し、iPhoneやAndroidのデモ機を貸し出し、Lotus製品とスマートフォンの連携製品を開発するためのベンダー内使用ライセンスを提供したり、「LotusLive ISVプログラム」によってLotusLiveを1年間無償で貸し出し、ISV側でソリューション開発ができるように技術的な支援を行う。さらには、「IBM Lotus Domino 8.5」で採用されたウェブテクノロジーを用いた新たなアプリケーション開発技術「XPages」のハンズオンを11月まで実施する。
また、「Lotus大感謝祭」と題したキャンペーンを開始。これに関連して、従業員1000人以下の顧客向けエントリー版である「Lotus Domino Express」の仕切率を大幅に引き下げた。パートナーは、日本IBMのバリュー・ディストリビュータや1次店のリセラー経由でこれを利用することができる。「震災の影響で、災害対策やモバイル化の流れが急速に進んでいる。リプレースする際のコストを抑え、迅速にコラボレーション機能を強化できる制度にした」(伊藤部長)と、案件発掘・成約で得られる「ソフトウェア・バリュー・インセンティブ(SVI)」を見直し、旧バージョンから新バージョンへのライセンス切り替え案件の報奨金(インセンティブ)を2倍に引き上げる。
日本IBMは、Notesを対象とする移行プログラムを強化していく。最新製品やパートナープログラムの展開をみれば、かつてないほどの力の入れようが伝わってくる。