日本IBMは、グループウェアの新製品「ロータスノーツ/ドミノ8」日本語版をこの秋に投入するのを機に、クライアント戦略を加速させる。次期ノーツはIBMが独自に開発したクライアント用のプラットフォーム上で動作する予定で、これにより同分野における自社プラットフォームの普及を有利に進める考え。クライアントを巡ってはRIA(リッチインターネットアプリケーション)への移行が急速に進むとみられており、基盤部分をいち早く押さえることでビジネスの主導権を確保する狙いだ。

 同社はクライアント向けのミドルウェア「エクリプス」をオープンソース化するなど、従来からプラットフォームづくりに取り組んできた。だが、クライアントのプラットフォーム領域ではマイクロソフトの強い影響下にあり、これを覆すことは容易ではない。そこで、優良顧客を多く抱える人気グループウェアのノーツを独自のプラットフォーム上で動作させることで、同分野におけるシェア拡大を図る。

 今秋にも投入予定の次期ノーツの日本語版は、複数のOSで動作可能なエクリプスをベースに機能を大幅に強化したプラットフォーム「エクスペダイター」上で稼働する。次期ノーツの出荷が始まれば、売れた数だけエクスペダイターのユーザーが増えることになる。ワークフロー機能で定評があるノーツは、「内部統制の強化などの需要をうまく捉えてグローバル規模で売り上げが拡大。今後も販売増が期待できる」(澤田千尋・ロータス事業部長)といい、次期ノーツの投入をテコに独自プラットフォームの普及に努める。

 エクスペダイター対応のアプリケーションの品揃えも強化する。すでに国内ISVへの働きかけを始めており、これまで20社あまりがエクスペダイターへの対応を表明している。

 7月末から開催するイベント「ロータスデー2007」では10社ほどのISVが対応アプリケーションを発表する予定だという。来年前半には次期ノーツへの移行が本格的に始まるとみられており、これに合わせてISVやSIerなどによる対応アプリケーションの開発が活発化する見通しだ。

 クライアントを巡っては、従来のクライアント/サーバー(C/S)型に代わり、管理や機能拡張が容易で表現力もあるRIA方式が台頭している。RIAで主導権を握れば、マルチOS化の推進などでOSへの依存度が低下。クライアント向けアプリケーションのビジネスを有利に展開できる可能性がある。次期ノーツの拡販によってエクスペダイターの普及促進を図るとともに、ISVやSIerを巻き込んだ有力商材の品揃えを強化することで、クライアント向けビジネスの拡大を目指す。