ゴルフ関連のインターネット事業を展開するALBAパートナーズは、自社のウェブサービス用のデータベース(DB)を増強するために、ソフトエイジェンシーのMySQL向けレプリケーションソフトウェア「Tungsten Enterprise for MySQL」を導入。課題であったサイトダウンなどの問題を解決したほか、表示時間やバッチ処理時間の短縮を実現した。
ALBAパートナーズ
会社概要:2008年11月に設立。ゴルフ関連のインターネット事業を展開する。オンライン向けに独自のニュースを配信しているほか、ゴルフ場向けに予約ポータルサイトの運営、ホームページ運用ASPサービスを展開している。
システム提供会社:ソフトエイジェンシー
製品名:「Tungsten Enterprise for MySQL」
ALBAパートナーズが導入したシステム構成
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ALBAパートナーズ システム部 阿部芳久副部長 |
創刊から24年目を迎えたゴルフ情報雑誌『ALBA』を出版するALBA。そのグループ会社であるALBAパートナーズは、ウェブサイト「ALBA.Net」を運営している。ゴルフ関連情報を大手ポータルサイトの「Yahoo!」に配信したり、全国ゴルフ場の予約サイト、またゴルフ場向けに個別に予約機能付きのホームページ提供サービスを展開している。ALBAパートナーズは、今年5月、ソフトエイジェンシーが販売するMySQL向けレプリケーションソフトウェア「Tungsten Enterprise for MySQL」を導入。ニュース配信や、ゴルフ場予約などのASPサービス運営で重要となるDBをクラスタ構成に移行した。
従来、ALBAパートナーズではニュース配信もASPサービスも一つのDBで処理していたため、トラフィックの処理能力が運営上の大きなボトルネックとなっていた。「Yahoo!ニュース」に配信したゴルフ関連情報がトピックスに取り上げられると、膨大なトラフィックが自社のウェブサイトに流入。サイトが重くなったり、頻繁にダウンするような現象が起きていた。同社の阿部芳久・システム部副部長は「ASP業務に支障をきたし、売り上げにも影響が出始めていた」と振り返る。経営上の喫緊の課題であり、「予算化してインフラを強固にせよ」という指令が阿部副部長に下った。
阿部副部長は競合2~3社について、製品をインターネットで情報を収集した。「Tungsten」を採用した大きな理由は、現行利用しているDBエンジンを変更することなく、ピーク時に負荷を分散できるスケーラビリティのあるシステムだったことだ。「海外での事例が豊富なことや、価格、技術力、サポート力を比較し、当社に最適なベンダーであると判断した」(阿部副部長)。また、1000本以上あるアプリケーションをほとんど書き換えなくても移行できるという点が最終的に決断したポイントとなった。
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ソフトエイジェンシー 久保田茂荘氏 |
構築を担当したソフトエイジェンシー IPソリューション部の久保田茂荘氏は「すでにあるアプリケーションに『Tungsten』を組み込むかたちで構築したので、細かい設定で苦労した部分はあったが、納入まで2か月の短期間で行うことができた」と話す。
今回の「Tungsten」導入に伴い、シングル構成から、3台のマスタ/スレイブ構成を構築した。ALBAパートナーズが保有する各アプリケーションサーバーに「Tungsten」のコネクタをインストール。アプリケーションサーバーはコネクタ経由で、3台のDBにアクセスする。コネクタを介することで、バックでは3台のDBが稼働しているが、アプリケーションサーバーからは1台のDBにアクセスしているようにみえる。データはマスタのDBサーバーに書き込まれるが、「Tungsten」が他の2台のDBにも同期をとっているので、マスタに障害が起きても自動的に切り替えを行い、スレイブの一つをマスタに昇格させることができる。残り2台で運用できるので、メンテナンスも容易で、24時間無停止のシステムを実現できた。阿部副部長は「サイトがダウンしなくなったのは明らかだが、表示速度が格段に速くなり、バッチ処理の時間も非常に短くなった」と効果を語った。(鍋島蓉子)
3つのpoint
・価格が安価でDBエンジンを変更せずに導入できる
・トラフィックが増大しても容易に拡張できる
・アプリケーションの書き換えがほとんど発生しない