その他
中国ネットサービスにもっと注意を払おう あなどれない“億人”単位のリアルタイム分散処理技術
2012/02/09 21:07
週刊BCN 2012年02月06日vol.1418掲載
日本の情報サービスベンダーは、中国のネットサービス動向にもっと注意を払うべきだ──。こう指摘するのは、ITホールディングスグループのTIS中国法人でデータセンター(DC)事業を手がける天津TIS海泰信息系統の丸井崇総経理である。
中国はFacebookやTwitter、Googleなどのメジャーなソーシャルメディアが国策で制限されている一方で、中国地場資本のソーシャルメディアが勢いよく伸びている。そのユーザー数は、世界メジャーと比肩するほどの規模だ。日本貿易振興機構(JETRO)の調べによると、中国の大手ミニブログサービス新浪微博(シンランウェイボー)の直近のユーザーは約2億人。ちなみにTwitterは約2.1億人だという。「システム屋の目線でみると、常時接続でリアルタイム分散処理、膨大なデータストレージ、増え続けるユーザーに対応するためのシステム拡張性といった、技術的課題を克服するだけの技術力が中国にあるという点に関心がある」(丸井総経理)という。
振り返って、国内のソーシャルメディアサービスのユーザー規模は、モバゲーが約3200万人、GREEが約2700万人、ミクシィが約2500万人、ニコニコ動画が約2300万人と、中国のメジャーサービスに比べてかなり少ない。新浪微博と並んで、「QQ」と呼ばれるサービスで有名な騰訊微博(テンセント・ウェイボー)のユーザーは約2.3億人、中堅どころのソーシャルサービスの網易微博(ワンイーウェイボー)でも約5000万人のユーザーがいる。中国のネットユーザーの総数は約5億人、モバイルインターネットユーザーは3億人を超えている。母体となる人口ベースが異なるのは仕方がない。ただ、リアルタイム処理するシステム構築で、2000万人分と2億人分との「構築実績」の差は大きい。将来、この分野における中国ベンダーの先行を許す隙を与える可能性という意味で、やはり注意しておく必要がある。
中国で約1200ラックの大型DCを展開するTISからみれば、中国のネットサービス需要を取り込めるか否かは、DC事業の伸びを大きく左右する。金融系基幹業務システムのアウトソーシングは、もともとTISが得意な分野だけに、地場系金融機関を中心に受注が順調に伸びている。今後は「これまで比較的弱かったネット系ビジネスの拡大に取り組む。すでにいくつかの有力な引き合いがある」(同)と、中国独自のビジネス形態の構築を急ぐ。
日本の情報サービス業は伝統的に基幹業務システムに偏重する傾向があり、優秀な人材もこの分野に多く投入してきた。米国や中国のような億単位のユーザーを抱えるネットサービスが、国内に少ないことも影響しているだろう。だが、成長国でのビジネス、とりわけ中国市場での将来を見据えた場合、ネットサービスビジネスに対する既成概念を改める必要がある。(安藤章司)
日本の情報サービスベンダーは、中国のネットサービス動向にもっと注意を払うべきだ──。こう指摘するのは、ITホールディングスグループのTIS中国法人でデータセンター(DC)事業を手がける天津TIS海泰信息系統の丸井崇総経理である。
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