日本企業と台湾企業の協業をより密に
台湾ルートで中国へ──。日本企業と台湾企業の間で、協業の機運は高まっている。現段階では手探り状態ではあるが、お互いの製品力や業界ノウハウを生かして、事業を拡大したいという思いは共通している。
SIサービス事業やストレージソリューション、指静脈認証システムの販売などを手がける日立亜細亜。台湾で唯一、インフォア・グローバル・ソリューションズのERP(統合基幹業務システム)「Infor ERP LN」(旧Baan)のリセラーとなっている。「Microsoft Dynamics AX/CRM」や「PeopleSoft Enterprise」といった有力ERPのリセラー認定も取得する予定で、ERPビジネスに力を入れようとしている。
これまで、台湾にオフィスを構える現地企業や日系企業を相手に事業を展開してきたが、中国にも進出する方針を掲げる。安田憲司・董事総経理は、「中国に事業を広げるユーザー企業に対して、中国の日立系企業と連携してサポートする。また、当社が中国で製品を直接販売することはできないが、台湾のSIer経由で販売することを考えている」と説明する。SYSCOMグループがすでに販売している「秘文」に加えて、システム間連携ツール「HULFT」など、中国向け製品ラインアップを増やす計画だ。SYSTEXやMDSなどの有力な台湾SIerとの提携も模索している。
重要なポイントとなるのが、中国の日立系企業との密な連携だ。「ある程度、扱う製品を共通化していく必要がある。今、日立本社と話を進めているところだ」(安田総経理)という。
同社は、目下、中国への進出を目指しているが、中長期的には東南アジアを含む広範な華僑経済圏での事業も視野に入れている。提携するパートナー企業については、共同出資や買収なども選択肢の一つとして残す考えを示す。
グローバルでの事業展開に実績
スパムフィルタリング管理システム「SPAM SQR」やメール監査管理システム「Mail SQR Expert」、メールアーカイビングシステム「Mail Archiving Expert」などを開発・販売する中華数位。納入実績が豊富で、台湾に2500社、中国に500社のユーザー企業を抱えている。ASUSTeKや台湾本田(ホンダ技研工業)、台湾総統府などが導入している。平均的なユーザー数は100~500人だが、大企業の開拓に力を入れてきた。
売り上げは小さいものの、シンガポールやマレーシア、ベトナム、タイ、オーストラリア、フランスでも代理店を通じた営業活動を推進している。日本市場には2006年に進出した。網屋、シンデン・ハイテックス、アルテックアイティの3社が一次代理店として、製品を販売している。
中華数位は、自社開発の製品以外にも、中華圏における代理店として、網屋のログ監査ツール「ALogConVerter」などを販売している。林世強・海外営業部部長は、「日本の1次代理店を増やす。海外での事業展開でも新たな協業先を探している。海外進出を目指す日系企業の製品を、当社が代理店として販売していきたい」ともくろみを語る。
他社の有力製品を新たな“弾”に仕立てて事業の拡大に役立てようという考えだ。
日本で足場を固めてアジア各国へ
精品科技は、情報漏えい防止システムの「TotalSecurityFort」や電子文書管理システム「X-DoRM」、手書き認識エンジンなどを主力製品としている。台湾と日本の売り上げ合算額は、総売り上げの95%程度を占める。
日本市場に参入した当初は、知名度が乏しいこともあって、苦戦を強いられていた。転機となったのは、NTTデータ・セキュリティ(現・NTTデータ先端技術)が「TotalSecurityFort」を導入したことだ。自社内での運用、評価を経て、代理店として販売に乗り出した経緯がある。現在、日本では20万クライアントの納入実績をもつ。
同社の鋕頌傑・研発中心技術総監は、「『TotalSecurityFort』のユーザー企業に対して、携帯電話向けのセキュリティや大規模対応の強化を進める。長期的には、日本の代理店とともにアジア各国に進出したい」と展望を語る。
組み込みフォントで協業を模索
文鼎科技開発は、フォント関連ソリューションを手がけるメーカーだ。組み込みフォントソリューションと文書編集・印刷・デザイン向けのフォントパッケージを開発している。陳嘉翔・営業処業務本部協理は、「Windows CEとLinuxを対象に開発した小容量のトゥルータイプフォントで、その容量は通常の3分の1だ。フォントの表示は速く、18×18ドット以下でも高い視認性を保つことができる」とアピールする。
全体の売上高の45%を日本で稼ぐ。大手家電メーカーのデジタルテレビやラベルプリンタに組み込みフォントソリューションが採用されているという。今後は、日本企業との協業を通じたグローバル展開を目論む。