新宿区(中山弘子区長)は、区役所内のシステムをシンクライアント化して、職員が作成する資料をファイルサーバーで管理している。職員は、各種資料の作成などに画像ファイルを多用するが、画像ファイルのサイズが肥大化したことで、ファイルサーバーの容量が不足するようになった。そこで、オーシャンブリッジの提供するファイル軽量化ソフト「NXPowerLite ファイルサーバーエディション」を導入。ある部署では、対象ファイルを約43%削減することができた。
ユーザー:新宿区
32万1134人(12年11月1日現在)の住民を抱える特別区。2762人(2011年4月1日現在)の職員が業務をこなしている。区役所内のIT管理は、総合政策部情報政策課が担当。
プロダクト提供会社:オーシャンブリッジ
プロダクト名:NXPowerLite ファイルサーバーエディション
【課題】画像サイズの肥大化とサーバーへの集中

総合政策部情報政策課東朋紀主事 新宿区のシステムはリモートデスクトップ環境で、およそ80台の専用サーバーを設置しており、職員はシンクライアント端末を利用している。IT管理者は、クライアント側でのローカルデータの保存を制限しており、ファイルサーバーでデータを一括管理している。
職員は、区民に向けた説明会などで、画像を使うことが多く、Officeファイルに画像を埋め込んで各種資料を作成し、利用している。
近年、デジタルカメラの性能が向上して画質がよくなったが、同時にファイルのサイズも大きくなった。こうした流れにあって、ファイルサーバーに保存する画像やOfficeファイルのサイズが大きくなり、新宿区が設置しているサーバーの台数では、容量が不足するようになった。

総合政策部情報政策課
谷脇徳人主任主事 この問題を解決するために、新宿区ではファイルサーバーの使用率が90%を超えると、IT管理者が職員に対して、ファイルの削減や画像ファイルの圧縮を依頼するようにしている。しかし、ファイルサーバーの中には、使用頻度は低くても削除できないファイルが多くある。また、「職員のなかには、ITの知識に乏しく、データの圧縮方法がわからない人もいる」(総合政策部情報政策課の谷脇徳人主任主事)。つまり、従来の方法では、容量不足の解決にはつながらなかったのだ。
別の改善策を模索したが、ストレージを増設して容量を増やす方法は、選択肢から外した。サイズの大きいファイルが減るわけではなく、いずれはまた容量が不足するようになり、根本的な解決にならないからだ。
また、重複排除・データ圧縮のソフトの導入もシステムの性能が低下してしまうので断念した。
容量を軽減する方法として、最終的にはファイルのサイズ軽量化を選択した。
【解決と効果】対象ファイルを約43%削減
「NXPowerLite」は、画像ファイルだけでなく、画像を埋め込んだWordやExcel、PowerPointなど、複数種のOfficeファイルを軽量化できるソフトだ。これまで国内の約8300社が導入した実績をもつ。
「圧縮や解凍の手間を省くために、軽量化の際にファイルの拡張子を変更しないこと」「容量を削減するにあたって、原本ファイルを残さずに、軽量化したファイルが上書きされること」。数あるファイル軽量化ソフトのなかで、「NXPowerLite ファイルサーバーエディション」が採用に至ったのは、新宿区が求める要件を満たしていたソフトは「NXPowerLite」だけだったからだ。
採用上の決定的な要因は、リモートデスクトップ環境に対応していたことだ。「他の製品は、クライアントパソコンごとにインストールするかたちのソフトが多かった。しかし、新宿区では、システムをシンクライアント化しており、デスクトップパソコンのローカルにデータの保存領域がない。ファイルサーバー側にインストールするソフトであることが条件だった」(谷脇主任主事)。
「NXPowerLite」は、職員がアクセスする5台のファイルサーバーに導入し、今年4月から稼働している。IT管理者がツールを一元管理し、軽量化を実行するときには、職員に10段階ある画像品質のなかから、最適なレベルを選択してもらうだけで、手を煩わすことがない。実際に、ある部署で対象のファイルを軽量化したところ、容量を43%ほど削減できた。
総合政策部情報政策課の東朋紀主事は、「これまでは軽量化の対象としていなかったPDFを、11月に対象ファイルに追加した。最新版に更新し、ファイルサーバーの軽量化を図る」と、今後の計画を語った。(真鍋武)
3つのpoint
リモートデスクトップ環境に対応
現場の職員に作業の手間をかけない
そのままの拡張子で軽量化できる