3次元CADデータを活用して、大手製造業向けの製品設計や商品企画をビジネスとしているスワニー(橋爪良博社長)。同社は2011年5月、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)感覚で情報共有やコメント投稿ができる社内SNSツール「Zyncro」を導入した。Zyncroを基盤として、大容量の設計データを簡単に取引先と共有するなど、社内外のコミュニケーションを円滑にしている。
スワニー
会社概要:設立は1970年。3次元CADデータの活用による製品設計や商品企画を手がける。携帯端末メーカーなど、大手製造業者を主な顧客としている。社員数は12人。長野県伊那市に本社を構える。
サービス提供会社:オーシャンブリッジ
プロダクト名:社内SNSツール「Zyncro」
スワニーが利用しているZyncroの画面イメージ
提供:オーシャンブリッジ

(左から)オーシャンブリッジの菅沼大輔取締役、スワニーの橋爪良博社長、同 菊池長史氏、オーシャンブリッジの高山知朗社長
長野県伊那市に本社を置くスワニーは、マイクロモーター用コイル巻線の製造などを手がけてきた。2010年、ビジネスモデルを一新し、3次元CADの専門知識をもつ橋爪良博・新社長の下、3次元CADデータ活用による製品設計や商品企画を新規事業として、ビジネスの再スタートを切った。
新生スワニーは、地元の若手開発者を採用しており、平均年齢は28歳。ユニークな発想や高い設計力を武器に、大手の製造会社を取引先として、ビジネスを順調に伸ばしている。橋爪社長は、立体オブジェクトを造形する3Dプリンタを導入するなど、新しい技術をいち早く取り入れてきた。その一環として、2011年5月、ソフト販売会社のオーシャンブリッジが提供するクラウド型社内SNSツール「Zyncro」の採用を決めた。
Zyncroは、SNSと同様のユーザーインターフェースを備え、部門内やプロジェクト内の情報共有をしたり、コメントを投稿することができる。国内のデータセンター(DC)を利用し、Zyncro上で社内外に発信する情報をしっかりと守るセキュリティ環境を提供している。オーシャンブリッジは、Zyncroを昨年5月にリリースし、その発売直後に導入を決断したスワニーは、日本での第一号ユーザーとなった。

3Dプリンタなど、最新のモノを積極的に取り入れるスワニー。昨年5月、日本の第一号ユーザーとして、社内SNSツール「Zyncro」を導入した
橋爪社長は、「当社は大容量の3次元CADデータを扱っているので、それら大量情報を効率よく取引先と共有することができる環境を構築したいと考えていた」と語る。Zyncroの導入前は、スワニーは取引先に設けられたファイル転送用のFTPサーバーにデータをアップロードしたり、ファイル転送サービスを利用するなど、かなりの手間をかけて社外との情報共有を行っていた。現在は、「3次元CADデータのファイルをZyncro上にアップロードしてお客様にダウンロードしていただく」(橋爪社長)というかたちで、情報共有のプロセスを大幅に効率化している。
橋爪社長は「導入は、わずか一週間で決めた」と、迷わずにZyncroを自社で活用することに踏み切ったそうだ。「当社は設計事業者だから、情報漏えいを防ぐために、とにかくセキュリティ性を重視した。Zyncroは日本のDCを使っているので、安心して導入のOKを出すことができた」と述べる。
スワニーでは、これまで電話やメールで受注していた設計案件の半分を、今はZyncro上で受注しているという。「Zyncroは、『お世話になります』といったかしこまった言葉は使わなくていいので、メールよりもフレンドリーな感じでお客様とやり取りすることができる」(橋爪社長)と、その理由を語る。Zyncroを活用し、メールのテキスト作成に必要な時間を短縮するだけではなく、より親しみやすいコミュニケーションを取引先と交わせるようにしたわけだ。
さらに、社内業務の効率も高まっている。橋爪社長は「以前はエクセルを使って設計のノウハウ集をつくっていたが、Zyncroに思いついたことを気軽に書き込むことで、リアルタイムに情報を共有したり、すぐにフィードバックを受けることができるようになっている」と満足気だ。(ゼンフ ミシャ)
3つのpoint
・クラウド型で導入コストが安い
・メールに代わるツールとして利用できる
・社内外とのコミュニケーションを活性化