中途採用とはいえ、入社1年目から期待を上回る大きな成果を上げた鴨下さんは、社内外から高い評価を得ている。しかし、最初から順調に受注を重ねたわけではなかった。前職で販売していたのはITの「ツール」だった。一方、エスキュービズムで手がけるのは「ソリューション」で、営業に求められるスキルはまったく異なるという。鴨下さんは、どのようにして自らの方法論を構築し、成果につなげていったのだろうか。(構成/本多和幸 写真/長谷川博一)
最も成長できた1年間
前職でITツールを扱っていたとはいえ、ITソリューションの営業は未経験だった私が、その販売の勘所をつかんだのは、入社して最初に獲得した案件での経験によるところが大きい。前回お話ししたように、この受注で社内MVPを受賞することができ、大きな自信につながったし、その後のすべての成果の基礎になっている。
エスキュービズムの営業は、ソリューションを売るという性質上、ほとんどがキャリア入社組。そうしたことも関係してか、入社後すぐに現場へ放り出された。最初は勝手の違いにとまどい、右往左往したのが実際のところだった。
まずは業界や自社の技術についての知識を仕入れることに努めたが、それだけで受注を獲得できるわけもなく、1か月、2か月が無為に過ぎると、さすがに焦りが出てきた。そんななか、上司がもともと担当していたクライアントで、休日にプレゼンしなければならなくなった案件があって、社内で担当を希望する者が募られた。ここでやるしかないと手を挙げて、プレゼンに向けてガムシャラに勉強した。上司のそれまでの営業プロセスもトレースしたうえで、お客様のニーズを明確にし、それに対して当社は何が提案できるのかを突き詰めたのだ。結果的に満足がいくプレゼンができ、この案件をクロージングまで担当したことで、俗な言葉でいえば「どうしたらお客様を落とせるか」という方法論をつかむことができて、状況が一気に変わった。
エスキュービズムに入社してからの1年間は、これまでの間で自分が一番成長した期間だと思っている。ソリューション営業のコツをつかんでも、業界の知識がすぐに豊富になるわけではないので、とにかくお客様の下に数多く通った。ひたすらお客様のお話を聞き、そこで得た知識・情報を吸収することを心がけた。営業を続けていると、途中で受注は無理だとわかってしまう案件もある。そんな時は、そのお客様を業界の先生と捉えて、自分が聞きたいことを聞くために通い続ける。受発注の関係ではないところで本音が聞けて、次の提案につながることもあるし、自分たちの製品開発に役立つ情報をいただくこともある。
また、社内のエンジニアとのつき合い方も重要だと学んだ。とくに当社のエンジニアは、新しいものをつくりたいという意識が強い。結果として、こちらのどんなリクエストにも応えてくれるので、営業にとっては提案の足かせがない。むしろ、そんな彼らのプライドを刺激するような、お客様のニーズを先取りする新しい提案を営業がすることで、お客様を含む関係者全員が前向きに仕事ができるいい循環が生まれる。私が受注した案件は、規模が倍々で大きくなっていて、こうしたノウハウの蓄積が、着実に実績につながっている。
●日常使う営業ツール.......... タブレット端末を活用したPOSシステムや業務改善システムを商材として扱っていることから、顧客への提案にはスマートデバイスをフル活用。iOSのiPad、iPhoneと、Windows 8 Pro搭載の「HP ElitePad」を併用して、どちらのOSにも対応できるようにしている。
●上司からのひと言.......... 「鴨下君はセンスで営業するタイプではない。自身のスペックを上げる努力を怠らず、クライアントなどを通じて業界情報をいち早くキャッチアップするとともに、アウトプットも適切にできていることが素晴らしい業績につながっている。単なる営業活動だけでなく、次にリリース予定のEコマースパッケージの製品企画にも携わっており、業界のニーズをいち早くつかんでいることを証明している」(真田幹己・営業統括室室長)