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業績が好調な日本オラクルで沈黙の社長交代 不可解な交代劇に読む“次の一手”
2013/09/12 21:03
週刊BCN 2013年09月09日vol.1496掲載
日本オラクルは、8月19日、社長の遠藤隆雄氏に代わって、デレク・エイチ・ウイリアムズ氏の社長就任が取締役会で決議されたことを発表した。遠藤氏は代表権のない会長として同社に残ることになる。
まさに沈黙の社長交代劇だった。プレスリリースはなく、過去の社長交代時に行われていた記者発表も開かない。発表されたのはウェブ上の投資家向けページのみで、交代理由などの問い合わせには一切応じていない。遠藤氏も本稿執筆時点(8月27日)では沈黙を貫いている。
「何かあったと思ってください」と言わんばかりだ。
一般的に社長交代の理由としては、業績悪化というのがわかりやすい。とくに外資系IT企業の日本法人に外国人社長が就任するケースでは、業績悪化に対する本社のテコ入れ策というのが普通だ。
ところが、日本オラクルは2013年5月期上半期(2012年6月1日~11月30日)で過去最高の業績を記録している。売上高と利益で2ケタ水準の成長をみせていた。2012年12月の本紙インタビューで「2013年も2ケタ成長を確実に実現する」と力強く語っている。
では、体調不良か。可能性はあるが、交代発表後も遠藤氏は出社しているという。会津大学で9月13日に開催される「会津IT秋フォーラム2013」の基調講演も、キャンセルされていない。
アベノミクスの影響? 1ドル80円の円高から1ドル100円へと円安に向かったために、ドル換算の利益が20%ほど減ったことになる。ドル換算では過去最高の業績とはならなかったのかもしれない。
囲碁の有段者として知られる遠藤氏。社長就任時の記者発表では「大局観をもって布石を打っていきたい」と囲碁にたとえて抱負を語っている。同じく囲碁の実力者として知られる衆議院議員の小沢一郎氏とは、囲碁仲間であるという。政界における小沢氏の求心力低下とともに、遠藤氏の求心力も低下したのでは?
IBM色を払拭するというのはどうか。日本オラクルの社長は、初代の佐野力氏、二代目の新宅正明氏、そして三代目の遠藤氏はすべて日本IBM出身だ。佐野氏と新宅氏の退任時は記者発表があり、いずれも代表権をもつ会長に就任した。遠藤氏は会長に就任するが代表権はない。日本IBM出身社長の流れを切ることで、米国本社の影響力を強くしたかったとの見方ができなくもない。
新社長に就任したウイリアムズ氏は68歳。年齢からすると、短期的な人事ではなかろうか。ただし、米国本社の幹部であることから、本社の方針を迅速に実行する体制づくりの布石ともいえる。今後、大きな方向転換があるかもしれない。同社の年次イベント「Oracle OpenWorld 2013」が、9月22日から26日までサンフランシスコで開催される。このイベントでの発表内容に要注目だ。(畔上文昭)
日本オラクルは、8月19日、社長の遠藤隆雄氏に代わって、デレク・エイチ・ウイリアムズ氏の社長就任が取締役会で決議されたことを発表した。遠藤氏は代表権のない会長として同社に残ることになる。
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