縮小が続く国内プリンタ市場にあって、OKIデータ(平本隆夫社長)は、2012年度、販売台数が前年度比1.3倍の約6万5000台、売上高は同1.1倍の321億円といずれも過去最高を記録した。12年度第4四半期の市場シェアは約8%に達し、11年度第4四半期の4.3%から着実に伸びている。同社の今年度の目標は、第3四半期中にシェアを10%に乗せること。今年7月には、高速A4カラーLED複合機の販売を開始したほか、11月には、プロフェッショナル向け新ブランドの大判プリンタを発売し、目標達成に向けた布石を着々と打っている。(取材・文/本多和幸)

「MICROLINE VINCI」のフラッグシップ「C941dn」
5色トナーで新たな色を表現

大浜信彦 部長 OKIデータの複合機/プリンタ製品は、独自開発のLEDヘッドを活用し、故障しにくいシンプルな機構で高品位な印刷を実現しているのが大きな特徴だが、販売戦略においては、これに加えて5年間の無償保証とメンテナンス品の5年間無償提供サービスも展開。ユーザーが自分でメンテナンスしやすい製品とサポート体制を構築することで、導入コストと運用コストの低減を両立するビジネスモデルを築いた。同社の大浜信彦・国内営業本部マーケティング部担当部長は、「このことが市場に評価されて、業績アップにつながっている」と手応えを語る。
製品戦略も明確だ。市場全体が縮小傾向のなかで、若干の成長トレンドにある領域を重点的に攻める。同社が注力するのは、デザイナーなどのプロフェッショナル向けのプリンタ市場と、オフィス向けの複合機市場だ。
プロフェッショナル向けでは、5月に発表した新ブランド「MICROLINE VINCI(マイクロライン・ビンチ)」の初のラインアップとなるA3ノビ対応カラープリンタ「C941dn」「C931dn」「C911dn」を11月に発売する。とくに「C941dn」は、従来のCMYKの4色トナーに加え、「クリアー」か「白」の5色めのトナーも追加し、多彩な色の表現を可能にする。また、シリーズ製品に共通して、ペーパーハンドリングを強化。最大360グラム/m2の厚い紙や、透明フィルム、特殊紙などにも対応できる。

小宮壮一郎 課長 「C941dn」の拡販を担当する小宮壮一郎・国内営業本部マーケティング部市場開発プロジェクトチーム担当課長は、「プロフェッショナル向けの『MICROLINE』ブランドは長い歴史があるが、『C941dn』で特色トナーを追加して色表現の革新を実現できたので、新ブランドとして市場に投入することにした」と背景を説明する。具体的な需要としては、「東京オリンピックの開催が決まり、商業印刷の需要は増えると期待している。また、食品パッケージのデザインで需要が伸びている。メーカーのデザイン部門などに訴求していきたい」としている。
「メーカーのデザイン部門にアプローチできる商材」という特性は、販路の拡大にもつながる。「従来、事務機しか扱っていなかったディーラーで、顧客のニーズがあるので扱いたいというパートナーがかなり多い」(小宮担当課長)という。同社はこれに加えて、デザイン科のある学校とコラボレーションして、将来のクリエーターに、「MICROLINE VINCI」を浸透させる取り組みも積極的に進める。まずは初年度、3機種で2000台の販売を目標としているが、小宮担当課長は「十分に達成可能」と自信をみせる。

5色トナーを搭載
A4複合機需要は必ず伸びる
一方、すでに7月に発売している、ビジネスプリンタ・LED複合機「COREFIDO2(コアフィード・ツー)」シリーズの新商品、A4カラーLED複合機「MC780dnf」や「MC780dn」も好調だ。
これらの製品群はA4複合機なので、コンパクト・省スペースであることが最大の特徴だが、A3に対応していないことに対する不安を口にするユーザー企業もあるという。しかし大浜部長は、「弊社グループ内で調査したところ、オフィスの印刷で使用される用紙の94%以上がA4以下の大きさだった。A3が必要な業務セクションは限られている」と説明する。ユーザーの間でもこうした認識は徐々に拡大しており、「一般オフィスでは、A4複合機のニーズは今後も必ず拡大する」(大浜部長)とみている。
また、9インチの大型カラータッチパネルを搭載し、ウェブ端末としての機能をもたせた。そのため、ウェブブラウザをパネルから立ち上げ、PCを使わずに業務アプリケーションなどを実行できる。
大浜部長は、「例えばA3複合機1台でカバーしていたスペースに、『MC780』シリーズを3台配置すれば、ユーザーにとっての利便性は飛躍的に高まる。メンテナンス費用の低減効果も考えれば、他社A3複合機から台数を上乗せしてのリプレースであっても、コスト高にはならない」と話す。これにウェブ端末機能搭載による業務効率向上効果を合わせて訴求し、「MICROLINE VINCI」と同じく、初年度2000台の販売を目指す。

「COREFIDO2」の新製品「MC780」シリーズ