BCN(佐藤敏明社長)とソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンク C&S、溝口泰雄社長兼CEO)は、8月20日、東京・千代田区のトラストシティ カンファレンス・丸の内で「SIer必見! BCN×ソフトバンク コマース&サービス共催セミナー Microsoft Cloud & Solutions 2014 ~クラウドファースト、モバイルファースト時代に掴む商機~」と題したセミナーを開催した。SIerやISV、ディストリビュータなど、約200人が参加した。(取材・文/木村春生(フリージャーナリスト) 写真/長谷川博一)
10大トピックスと今後のキーワード

『週刊BCN』
木村剛士編集長 セミナーでは、前半に二つの基調講演で、クラウドファースト、モバイルファースト時代のキーワードを説明。デモを通じて「Microsoft Dynamics CRM」や「Office 365」の活用方法を紹介した。
基調講演1では、「SI新時代に生き抜く方法~従来型SIの終焉──。その先にあるビジネス~」と題して『週刊BCN』編集長の木村剛士が講演した。
木村編集長は、『週刊BCN』編集部が選ぶ「この1年でパラダイムシフトを引き起こした10大トピックス」を紹介。「IBMのx86サーバー売却事業」、Windows XPやWindows Server 2003のサポート終了に伴う「マイクロソフト特需」、そして「ASEAN(進出)ラッシュ」「農業IT」「ベネッセの個人情報流出」などを取り上げた。
10大トピックスの最後に紹介したのは「情シス不要、SI崩壊」である。「クラウドの普及やサービスの充実によって、受託開発が中心だったSIerのビジネスが変わろうとしている。企業でも、ユーザー部門が情報システム部門に依存しないシステム開発が可能となったことから、主導権がユーザー部門に移りつつある」と指摘した。また、この先のビジネスにつながるキーワードとして、「CIer(クラウドインテグレータ)」「SMACS(Social Business、Mobile First、Analytics/Big Data、Cloud、Security)」「ウェアラブル」「地方」「中国」の五つを挙げた。
最新デバイスと活用シーンの関係

日本マイクロソフト
西脇資哲
エバンジェリスト 基調講演2では、「クラウド/スマートデバイス時代の針路とは ~マイクロソフトの最新技術動向に見る、失敗しないクラウド/スマートデバイスのヒント~」と題して、日本マイクロソフトの西脇資哲・業務執行役員社長室エバンジェリストが講演した。
西脇エバンジェリストは、「世界中のさまざまな電子デバイスのうち、Windows OSのシェアは14%に過ぎない。そこで、ユーザーの利便性向上のため、他のOS向けにアプリを積極的に提供している。実際、iOS上で最も多くのアプリケーションを提供しているのはマイクロソフトだ」と語った。
そして、変化するデバイスと活用シーンの関係を「コミュニケーション」「プレゼンテーション」「コラボレーション」という三つのステップで紹介した。ステップ1の「コミュニケーション」は、社外でのメールやスケジュールの確認を意味するが、1999年に携帯キャリアがインターネット接続を完了した時点ですでに実現しているという。「今さら『コミュニケーション』を実現するために、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスにユーザー企業が投資するだろうか。スマートデバイスを導入する本来の目的は、高度な『プレゼンテーション』や『コラボレーション』を実現するためにある」と指摘した。
そのうえで、「Dynamics CRM」や「Office 365」を活用した高度な「コラボレーション」を紹介した。まず、医療機関向けのWindows 8.1タブレット端末とBluetooth通信で、在宅介護で看護師が血圧データを取得するデモを行った。従来のようなデータ転記の必要がなく、検査結果がネットワーク経由で即座に病院の患者管理システムにも登録されるため、ミスの防止とスムーズな情報共有が実現できるとした。次に、セミナー会場から遠隔地の医師役と「Microsoft Lync」によるビデオ会議システムで結んで、アドバイスを受けながら手術を進めるデモを披露した。
三つの分科会と14種類のセッション
午後の部では、ソフトバンク C&Sの齊藤主典・ICT事業本部MD本部ビジネスソフトウェア統括部ビジネス開発課課長による「間もなく登場!サーバーいらずのワークフローソリューション Nintex Workflow for Office 365のご紹介」と題するセミナーなど、「Microsoft Azure」「Office 365 SharePoint」「Office 365 安全性強化」という三つのテーマの分科会に分かれ、14種類のセッションを開催した。
ソフトバンク C&Sは、米マイクロソフトが開催したパートナー向け年次イベント「Worldwide Partner Conference 2014(WPC 2014)」で、「Microsoft Azure」の販売実績で世界No.1のベンダーとして表彰されている。その同社が開催したセミナーだけに、基調講演とセッションともに、多くの参加者が高い関心を示していた。