2014年12月に就任したEMCジャパンの大塚俊彦社長は、「プラットフォーム2.5」を基軸にして、ハイブリッドクラウドの環境を構築するためのツールの提供によって売り上げの拡大を図る。「プラットフォーム2.5」とは、オンプレミス(第2のプラットフォーム)からクラウド(第3のプラットフォーム)に移行するにあたって、両方のリソースをうまく活用するためのアーキテクチャや製品群を指す。ちなみにメインフレーム系が「第1のプラットフォーム」になる。15年は、インフラ製品などのポートフォリオを拡充するとともに、クラウドサービスプロバイダ(CSP)との提携を強化して、ニーズが旺盛なハイブリッドクラウド(プラットフォーム2.5)市場の開拓に動く。
大塚社長は、日本IBMや日本オラクルの要職を歴任し、昨年末、前社長の山野修氏からEMCジャパンの経営トップを引き継いだ。第一印象は、頭が切れるスマートな外資系ビジネスマン。1月29日に東京本社で開いた事業方針説明会では、手慣れた感じで数字や具体的な話を避けて、報道陣の質問に応じた。
大塚社長は、社会人生活のスタートとなった日本IBM時代に、「第2のプラットフォーム」の販売を現場で仕切り、前職の日本オラクルでは、ビジネス方針を製品販売からソリューション展開に転換させるための取り組みを統括した。EMCジャパンでの自身の役割については、「成長領域を明確にしたうえで、体制づくりへの投資や人材の育成に取り組みたい」として、クラウド時代への対応を課題とするEMCジャパンの改革を加速していく意志を示した。
CSPパートナーを倍増

おおつか・としひこ
1962年、東京都生まれ。85年、早稲田大学を卒業して日本IBMに入社。同社で執行役員公共事業担当を経て、2006年にシスコシステムズに入社。専務執行役員として経営企画・オペレーションズ担当を務める。10年、日本オラクルに入社。同社で副社長執行役員を経て、14年12月に現職に就任。 大塚社長が「プラットフォーム2.5」と名づけた事業展開に注力しようとしている背景には、その基盤を成すフラッシュ製品やデータ保護ツールの市場が勢いよく伸びていることがある。EMCジャパンでは、国内のオールフラッシュストレージ市場は2013年の35億円から17年までに140億円へ、重複排除型バックアップ市場は13年の112億円から17年までに260億円へ拡大するとみている。
こうした動きを背景に、15年、CSPパートナーの数を倍増させて、販売体制を強化することによって、市場開拓を目指す。さらに、コンサルティング事業を強化する。「セキュリティ」や「アジャイル開発」など、テーマごとにコンサルプランを用意し、ユーザー企業の業務課題を解決することで、製品の販売を促す構えだ。(ゼンフ ミシャ)