週刊BCNは、7月31日、NTTコミュニケーションズ(NTT Com、庄司哲也社長)の特別協賛を得て、都内でラウンドテーブル(円卓会議)を開催した。SIerやソフトベンダーの営業担当者やマーケティング担当者など26人が参加。クラウドサービスの利用について自由に意見を交わした。(取材・文/前田幸慧)

グループディスカッションの様子クラウドは“競争”から“共創”の時代へ

クラウド利用促進機構(CUPA)ビジネスアドバイザーの八子知礼氏 主催者を代表して開会の挨拶をした週刊BCNの畔上文昭編集長に続いて、クラウド利用促進機構(CUPA)ビジネスアドバイザーの八子知礼氏が基調講演を行った。
八子氏は、クラウドビジネスの市場について、外資系メガクラウドプレーヤーによる競争の激化や、企業のクラウドに対する認識と、市場や技術の変化によって、「状況はこの一年で激変した」と説明。また、地方創生や電力事業などを例に挙げ、日本国内の閉ざされた空間でデータを分析・利用する必要があるような場合には「国産のクラウドに大きな期待がかかる」と指摘した。「(日本企業にとって)クラウドの時代は“競争”ではなく“共創”の時代に大きく変わってきている。一社単独でできることは限られているので、この領域に強い事業者と積極的にアライアンスを行って、わが国独自のクラウドビジネスを創造してほしい」と、国産クラウドに対する期待を語った。
国産クラウドへの数々の注文
次に、参加者が5人前後のグループに分かれてディスカッションを行った。各企業でのクラウドの利活用状況や、基幹システムにクラウドは使えるか、国産クラウドに対する印象、パートナーに求めるポイントなどについて、各グループが活発に議論を展開。
議題のそれぞれについて、「基幹システムにクラウドは使えるだろう」「厳重な管理が求められるようなところには、オンプレミスや、オンプレミスとクラウドとのハイブリッドのようなものになるのではないか」「コストが安いので海外のクラウドを使っている」「外資系クラウドの存在があまりに大きく、国産クラウドの印象が薄い」「国産のクラウドは独自性がない」「欲しいときに欲しい情報をくれる事業者と協業したい」「コンサルができるパートナーを欲している」などの意見が出た。
永続性の高い事業者の選択がカギ

NTTコミュニケーションズ クラウドサービス部販売推進部門クラウドエバンジェリストの林雅之氏 ディスカッションの後は、NTT Comクラウドサービス部販売推進部門クラウドエバンジェリストの林雅之氏が講演。クラウドビジネス市場について、外資系クラウドベンダーによる大規模投資を背景に、「クラウドサービスがコモディティ化していくことで、価格競争がよりシビアになり、先行投資を行ってビジネスを展開できる事業者でないと、なかなか生き残っていくことはできない。世界のクラウド事業者が淘汰されていくのではないか」との見解を示し、「クラウド事業者を選定するときは、永続性の高い事業者を選ぶことが大切」だと説明。NTT Comとしては、「これからクラウドの導入を考える“アーリーマジョリティ”をターゲットに、パートナーと連携してアプローチしていきたい」と述べ、同社のクラウドサービスやパートナーとの協業事例、パートナー向けの支援サービスなどを紹介した。「この(ラウンドテーブルの)機会に、ぜひパートナーになっていただきたい」と参加者に呼びかけた。