『週刊BCN』は、「ユーザーの声からビジネスの本質に迫る~ビジネスチャンスを創出するビッグデータ分析ソリューションとは!?~」をテーマに、11月18日に東京、11月26日に大阪でセミナーを開催した。協賛は、デルと日本マイクロソフト、日本パレットレンタルの3社。ビッグデータやIoTという旬なテーマに加え、ストレージやSQL Serverの最新機能が紹介されるとあって、参加者は熱心に聞き入っていた。
DBもハイブリッドクラウド

日本マイクロソフト
パートナーセールス統括本部
プリンシパルテクノロジー
ストラテジスト
青木祐二氏 冒頭の講演は、主催者セッションとして、『週刊BCN』編集長の畔上文昭が登壇。「2020年に向けて、これからのITベンダーのあるべき姿とは」と題し、ITの最新動向を紹介しながら、20年以降のITベンダーがどうあるべきかを紹介。「企業向けの情報システムは、AI(人工知能)によって新たな局面を迎える。そこに注目してほしい」と語った。
次のセッション1に登壇したのは、日本マイクロソフトパートナーセールス統括本部プリンシパルテクノロジーストラテジストの青木祐二氏。「SQL Server 2016最新情報」と題し、パフォーマンスと分析機能、ハイブリッドクラウドの三つの視点から、16年に発売される「SQL Server 2016」について解説した。
青木氏は冒頭、「企業が扱うデータ量は、年間で40%以上も伸びている。IoTの普及などによって、データを吸い上げることが増えたからだ。また、データを有効活用している企業は、生産性が高いという。データは企業価値そのものになったといえよう。そうした市場ニーズに応えるのが、SQL Server 2016である」と切り出した。SQL Server 2016は、単なるデータベース(DB)ではなく、“データプラットフォーム”を志向していて、データを利用価値のある情報に変える役割を担うという。
クラウドとの連携にも注力していて、例えば「Stretch Database」という機能では、オンプレミスで稼働しているDBをマイクロソフトのパブリッククラウド「Azure SQL Database」に拡張できる。アプリケーションからはオンプレミスのDBにみえるため、Azureへ拡張するにあたって、プログラムを変更する必要がない。あまり使用しないデータをAzure上に置くといった使い方もできる。
このほかにも、パフォーマンス向上やセキュリティ対応、分析機能などに注力していて、1年間で500を超える新機能を開発したという。最後に青木氏は、「SQL Server 2016に搭載される新機能のほとんどが、Azure上ですでに提供されている。新機能をぜひ、Azureを使って確認してほしい」と呼びかけた。
物流を支える爆速ストレージ

デル
サービス営業統括本部
コンサルティング部
シニア・ソリューション・アーキテクト
牧野達也氏 セッション2では、デルのサービス営業統括本部コンサルティング部シニア・ソリューション・アーキテクトの牧野達也氏が登壇。「デルが実現する爆速ミッションクリティカルデータベース」をテーマに、デルの製品や取り組みを紹介した。
牧野氏は、「デルにはSQL Server専門のチームがある。さまざまなソリューションに加え、アセスメントサービスも提供していて、保守を含め一貫してサポートする体制がある」と同社の強みを紹介した。SQL Serverに強いデルのフラッグシップモデルが「爆速メモリストレージサーバ (Microsoft SQL Server SSD Appliance for Dell)」だ。SQL Server EnterpriseとSSD搭載のサーバーを組み合わせ、超高速パフォーマンスを実現したアプライアンス製品で、業界初となる新世代NVMe規格SSDを搭載している。
ただし、高性能で高信頼を実現する最新のSSDだけに安価で提供とはいかない。「ストレージの一番の問題はコストにある」と牧野氏。そこでデルは、コスト効率を考慮しつつ、信頼性や可用性の高いストレージサーバーの構成をコンサルティングチームが検証している。牧野氏は、その検証結果をもとに、状況に応じた最適な構成例を紹介。最後に、「ぜひ、デルのワークショップやアセスメントサービスを活用してほしい」と話し、セッションを終えた。
セッション3では、爆速メモリストレージサーバを自社のサービスに活用している日本パレットレンタルの情報システム部ICTサービスグループグループ長の黒岩暁氏が登壇。「高いコストパフォーマンスと低コストを実現したビッグデータ分析基盤の導入」をテーマに、自社の取り組みを紹介した。

日本パレットレンタル
情報システム部
ICTサービスグループグループ長
黒岩暁氏 物流サービス事業者の日本パレットレンタルでは、標準規格の物流用パレット(荷役台)を約850万枚保有していて、全国6万か所の物流拠点に、年間で約3500万枚のパレットを出荷している。「パレットには、RFIDを埋め込み、どこで誰が利用しているかを管理している」と黒岩氏は語る。利用状況をトレースできることから、レンタルパレットは都度回収するのではなく、顧客間でリレーして使うことも可能になっている。
こうした取り組みの背景には、物流業界の課題があるという。「ドライバーが不足していることに加え、ネット通販の普及で、多くの品目を小ロットで運ぶようになった。また、食の安全性や環境問題も解決しなければいけない。自動化や省力化が必要とされている」と黒岩氏。パレットのIoT化は、流通の効率化に貢献する取り組みでもある。
日本パレットレンタルでは、レンタルパレットの仕組みを利用して、RFIDを活用した個品管理のサービスを提供するという、サービス事業者でもある。ガスボンベの輸送など、多くの物流シーンで活用されている。
大量のRFIDを活用していることから、扱うデータも当然、膨大になる。その処理で選んだのが、デルの爆速メモリストレージサーバだった。「コストと性能、そして安定稼働のバランスを考えて判断した」と黒岩氏。手堅いシステムで、確実に性能を出せるシステムでもあると評価している。最後に黒岩氏は、「われわれとしてはベストな選択だった」と語り、講演を締めくくった。