NTTデータ イントラマート(中山義人社長)は、12月17日、都内で「2015年度下半期intra-martパートナー会」を開いた。15年度上半期の市場を振り返るとともに、下半期の販売戦略や製品ロードマップ、新規施策などを紹介。また、有力パートナーが導入事例も披露し、ビジネス拡大に向けて最新情報を共有した。(取材・文/本多和幸)
上期売上は前期比40%増

中山義人
社長 冒頭に登壇した中山社長は、パートナー各社を前に、まず2015年度上半期のNTTデータ イントラマートの動きを総括するとともに、主な新規施策を解説した。
15年度上半期の同社の業績は、売上高が25億4200万円で、前期比40%増、とくにサービス事業の売上高は前年比約60%増と非常に好調だった。中山社長は、「上期決算は非常にいい数字になった。これもパートナーの皆さんのおかげ」と、参加者に謝意を示した。
この業績を支える案件として、「お客様とともにつくりあげるおもしろい事例が出てきた」ともコメントし、実際に三菱電機ビルテクノサービスや富士ゼロックスの事例を紹介した。
三菱電機ビルテクノサービスは、NTTデータ イントラマートが提供するシステム共通基盤の「intra-mart Accel Platform」とドキュメント管理システムを採用。既存のシステムを残しながら、商談から受注、保守まで、いわゆる顧客ライフサイクル全般にわたるビジネスプロセスを構築しているという。「ポイントになるのは、各システムから顧客マスタをもってきて統合していること。結果として、統合化された顧客マスタをもとにして顧客ライフサイクルのすべてのプロセスが動くという事例になっている。これはお客様の業務効率化を根本から支える仕組みになっていて、2倍の件数の保守ビジネスを1.2倍の要員でこなしていくという、非常に大きな業務効率の向上を実現している」(中山社長)。
一方、富士ゼロックスの事例は、同社のクラウドソリューションやサービスをワンストップで提供する会員制無料ポータルサイト「富士ゼロックスダイレクト」を、intra-mart Accel Platformで構築したというもの。富士ゼロックスの複合機などとも連動し、ハードウェア、クラウドサービスなどの利用状況を複合的にビッグデータとして活用して、業務プロセスの改善提案につなげるための基礎となるシステムだ。
「われわれもSIerも変わらなければ」
こうした先進事例を踏まえ、中山社長は、「マーケットが変化してきており、われわれもSIerも変わらなければならない」と訴えた。クラウドやGUIツール、モバイル技術の進化により、開発コストはどんどん下がってきており、当然、ユーザーにとってのROIは相対的に上がることになる。これにより、「ユーザー企業が積極的に本業をIT化し始め、新しいSIのマーケットとして出現してきた」(中山社長)という。「この新しいマーケットには、IT部門ではなくビジネス部門が中心となって要件を定義するケースが多い、顧客接点となるシステムが多い、激しい変化に継続的に対応しなければならない、俊敏性や試行錯誤が求められる、各社各様の業務に適用する必要があるといった特徴がある。従来型の人月ビジネスではなかなか対応できない」として、中山社長は、開発の生産性を上げるintra-mart Accel Platformがそれに応えられる商材であることをアピールした。
NTTデータ イントラマートとして取り組む機能向上やパートナー施策の方向性については、「これまでにないほどの高い開発生産性の実現」「企業競争力のある業務プロセス」「お客様のビジネスを一緒につくり上げる」という三つのテーマを掲げた。

パートナーの活躍が好業績につながっていると手応えを話す 高い開発生産性の実現に関しては、intra-mart Accel Platform上でビジネスロジックを簡単に作成することができるツール「IMーLogicDesigner」を昨年11月にリリースし、すでに好評を博しているという。現在は、マルチデバイス、多言語対応、ノンコーディングのウェブ画面作成ツール「IMーFormaDesigner」の大幅な機能向上に取り組んでおり、ノンコーディングで従来以上に複雑なデータのやりとりができるように開発を進めているという。
企業競争力のある業務プロセスの実現に向けては、特定の業種に強みをもつパートナーと、業務プロセスのテンプレート化を積極的に進め、拡販に努めている。また、より顧客の業務に精通し、製品の再販はしないが、同社の業務プロセスソリューションや業務テンプレートの受注を支援する「コンサルティングパートナー」を新たに新設することも発表した。さらに、業務プロセスの国際標準であるBPMN2.0への対応も進めており、中山社長は、「近くIBMやオラクルのBPM製品とグローバルで真っ向勝負ができるようになると思っている」と強調した。
顧客とのビジネスの共創に向けた取り組みとしては、intra-mart Accel Platformを活用したIoT基盤を開発中であることを明らかにし、パートナーにPoC(Proof of Concept、概念実証)への協力を呼びかけた。パートナー会の終盤では、PoCパートナーの第一号として、飲食チェーン店などを展開するコロワイドの情報子会社であるワールドピーコムの幹部が登壇し、実店舗でのPoCの事例を紹介した。