NECネッツエスアイは、NECの工事部門を母体として設立されたこともあり、現在でも男性社員が多数を占め、女性社員比率は15%程度。だが、ここ5年前後で女性の採用や管理職登用などを積極的に進め、5月27日には女性活躍推進の状況が優良であることを示す厚生労働省の認定マーク「えるぼし」の最高ランクを取得。育休後の復職率も100%を達成している。
「えるぼし」最高ランクを取得

NECネッツエスアイ
菰田典子
課長 転機となったのは、2011年の上場セクタの変更だ。それまでの「建設業」から現在の「情報・通信業」へセクタを変更するのにあわせ、会社として女性のキャリア促進に取り組む姿勢を明確化し、13年度以降は中期経営計画にもダイバーシティ推進を盛り込んでいる。「ダイバーシティ推進は事業にもメリットがあるということをまず管理職が理解することが重要だった」(菰田典子・人事部ダイバーシティ・マネジメント推進グループ課長)ため、10年から毎年有識者を招いた講習会やワークショップを開催。講習はテレビ会議で全国の拠点にも配信し、毎回200人あまりが参加しているという。行動計画では20年度末までに管理職女性比率5%を目指す。

NECネッツエスアイ
飯島真衣子
主任 また、15年1月から、10部門約100人を対象として在宅勤務を実験的に導入。在宅時の労働時間管理のため、勤怠管理アプリケーションを自社開発した。飯島真衣子・営業統括本部マーケティング本部主任によると、「人事制度に大きな変更を加えなくても導入できる形態の在宅勤務を想定した」といい、このノウハウとともにアプリの外販もスタート。ワークライフバランスへの取り組みを事業へと発展させる。
VDIやBYOD導入のパイオニア
ネットワークやインフラ構築技術に強みをもつネットワンシステムズは、全社でVDI(仮想デスクトップ)やBYODを導入するなど、ワークスタイル改革ではパイオニア的な存在だ。現在では、新卒採用に占める女性の割合が4割、育児休暇からの復職率は100%、平均勤続年数も男性8.3年/女性7.8年と、男女のギャップは非常に小さくなっているが、以前は出産を機に退職する女性も珍しくなく、女性活躍の意識が社内に浸透したのはここ数年だという。

ネットワンシステムズ
牛島 幸氏 同社では13年にダイバーシティ推進委員会を発足し、性別、国籍、障害の有無などあらゆる違いを超えて、社員が力を発揮できる職場環境の整備を本格化。そのなかで、女性の活躍に関しても問題の洗い出しを行ったが、人事部人事第2チームの牛島幸氏によると「育児休暇や時短勤務などの制度がどれだけ整備されていても、『本当にこれだけ休んで大丈夫なのか』『時短でも働ける仕事があるのか』といった不安から、諸制度を十分活用できない女性社員も少なくなかった」といい、復職時に間接部門などへの異動を希望するケースもあったという。
「制度の整備よりも、社員の意識を変えること」が重要な課題と判断し、同社では管理職への意識改革研修を強化するとともに、女性社員が出産・育児というライフイベントを経たうえでのキャリアパスを描けるよう、出産・育児経験のある社員と、これからという社員が顔を合わせて話し合える情報交換会を開催するなど、女性のキャリア形成を社員に意識してもらう機会を増やしている。