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日本情報技術取引所 沖縄支部の開設によってアジアへの拡大路線を強化 シンガポールや韓国への進出も視野

2017/03/02 09:00

週刊BCN 2017年02月27日vol.1667掲載

 NPO法人の日本情報技術取引所(酒井雅美理事長、JIET)は2月16日、沖縄支部を開設した。昨年に設立20周年を迎えたJIETは、次の20年を見据えて、積極的に組織の拡大策を推進している。その第一弾が、昨年11月25日に開設したバンコク支部。沖縄支部は、バンコク支部に続く第二弾の支部開設となる。3月には台北支部の開設も予定しており、順調に拡大策を推進している。その後はシンガポールや韓国への進出を視野に入れており、日本のIT産業において大きな課題となっているエンジニア不足の解消に向け、海外人材の活用推進をJIETの使命として注力していく。(畔上文昭)

悲願だった沖縄支部の開設

沖縄支部の開設を
宣言するJIETの
酒井雅美理事長

 システム開発案件の紹介やビジネス創出の機会を提供するJIETは、全国で年間400回以上の商談会や勉強会などを開催している。会員企業は800社を超え、約5万人のエンジニアを抱える国内最大級のIT関連団体である。昨年に設立20周年を迎え、酒井理事長のもとで積極的に拡大路線を推進しており、沖縄支部の設立も、その一環の取り組みとなる。

 JIETは、これまでも年に1回の頻度で沖縄県において商談会を開催してきたが、九州支部が担当していた。沖縄支部を開設したことから、今後は商談会と幹事会をそれぞれ4回ずつ沖縄で開催し、より地域に密着した活動の推進を予定している。沖縄支部の奥園孝二支部長は、「九州支部が沖縄で商談会を初めて開催してから14年。沖縄支部の開設は、JIETの悲願だった。まずは、年内に10社の会員を集めて、翌年には20社の組織にしたい」と考えている。

沖縄をハブにアジアへ進出

沖縄支部の活動内容に
ついて説明する
奥園孝二支部長

 沖縄では地域の案件に加え、首都圏を始めとする大都市圏のニアショア案件を支えるSIerが多い。首都圏では開発案件過多の状態が続いていて、エンジニア不足の状態となっているが、沖縄も同様の状況に陥っている。そのため、沖縄のSIerがJIETに期待するのは、案件紹介に加え、オフショア開発の請け負い先の紹介にもある。JIETとしても、そうした会員ニーズを見据えて、バンコク支部や台北支部の開設に動いてきた。

 「エンジニア不足は今後も続くと考えており、アジアへ、世界へと人材を求めていかなければいけない。沖縄支部には、日本とアジアの懸け橋になっていただきたい」と、酒井理事長は沖縄支部に他国との交流の起点になることを期待している。

 JIETの会員企業は、中堅・中小規模のSIerが多く、各社が独自でオフショアを手がけるのは難しい。そこで、ニアショアとして沖縄のSIerが案件を担い、そこを起点にオフショアへと展開することをJIETでは構想している。

 沖縄支部の設立にあたり、JIETは2月16日に沖縄支部設立式典を開催。沖縄のIT関連企業から約70人が参加した。発足式の来賓としてあいさつした沖縄県の盛田光尚・商工労働部情報産業振興課課長は「IT産業は観光産業の次の規模があり、県としても注力している。JIETの支部ができたことで、全国の企業とビジネスの交流をする機会が増えれば、県内IT産業のさらなる振興につながる。また、沖縄のソフトパワーでアジアにも出ていく」と、JIETとの連携によるIT産業振興への期待を述べた。3月には台北支部の開設を予定。さらなる海外展開にも、沖縄支部のハブとしての役割に期待がかかる。
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外部リンク

日本情報技術取引所=http://www.jiet.or.jp/