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ピュア・ストレージ クラウドのストレージは古い!?オールフラッシュが速いとは限らない

2017/05/11 09:00

週刊BCN 2017年05月08日vol.1676掲載

 IoT時代が到来し、機器に搭載したセンサから送られる膨大なデータを分析することで新たなビジネスにつながるようになる。データを収めるストレージの需要は増大し、さらにクラウド時代に適したものへと進化が求められている。栄枯盛衰の激しいストレージ市場において、勝ち組になり得るベンダーはどこか。(山下彰子)

淘汰が進むストレージ市場


左からピュア・ストレージ・ジャパンの田中良幸代表取締役社長、
ピュア・ストレージのスコット・ディーツェンCEO

 クラウド時代においては、膨大なデータを保存する大容量かつ高速なストレージが必要になる。一昔前はハードウェアのパフォーマンスを高めることで、処理スピードを実現した。HDDでは、ディスクの回転速度を上げることで高速化を実現してきた。その後、エンタープライズ市場では大容量化が求められ、複数のHDDをまとめて運用できる制御ソフトウェアの効率化が重要視されるようになった。

 ハードウェアからソフトウェアへ、ストレージの進化を支える技術は変わっていった。しかし、最近では進化そのもののスピードが緩やかになってきている。ピュア・ストレージのスコット・ディーツェンCEOは、「物理的な限界もあり、この20年はHDDのスピードは上がらなかった。その意味でHDDは進化していない」と指摘する。

 高速化を求め、ピュア・ストレージはNANDフラッシュを使った新しいプラットフォームを生み出した。まず、フラッシュは機械的な構造がないのでシークタイムがなく、高速なランダムアクセスができるという利点がある。また、HDDに比べ、消費電力が低く、省スペースという利点もある。こうした優位性に着目し、フラッシュストレージベンダーが何社も誕生した。

 フラッシュストレージ市場は、一昨年くらいまでは参入する新興ベンダーが多かった。そこに既存のストレージベンダーが参入。ところが、2016年くらいからベンダーの買収統合が始まる。「XtremIO、ニンブル ストレージ、DSSDなどがレガシーなストレージベンダーに買収された」とディーツェンCEOはいう。新しい技術を取り込んだ大手企業のみが生き残るのか。

クラウド市場もストレージ次第

 ピュア・ストレージによると、パブリッククラウド市場の3大企業であるAWS、マイクロソフト、Googleは、市場の拡大とともに成長していくが、シェアは落ちるという。ディーツェンCEOは、「3年先をみたとき、パブリッククラウドのストレージ市場でのシェアは3社合わせても15%以下になる」と語る。このシェアが伸び悩む要因としてディーツェンCEOが指摘するのが、ストレージの制御ソフトウェアの違いだ。「競合ストレージベンダーが使っているアーキテクチャはHDD向けのもの。メインフレームやクライアント/サーバーを念頭に置いたアーキテクチャだ。一度に一つのことしかできず、スピードが遅いためクラウド向きではない。当社の制御ソフトウェアは、複数のオペレーションを同時並行で処理でき、パフォーマンスが高い。そのため、当社のストレージを採用するクラウドベンダーにチャンスがある」と優位性を強調する。

 さらにディーツェンCEOは、自社製品の導入事例からクラウド時代に適したストレージのポイントを洗い出す。例えば「レガシーベンダーのストレージを50アレイほど導入していた顧客では、運用に20人ぐらいの担当者が必要になっている」と話し、管理を完全自動化することで人員を削減できるとした。また、「HDDストレージからフラッシュストレージに乗り換えることで、設置面積が冷蔵庫20台分から電子レンジ1台分になったうえに、パフォーマンスが上がった」とアピールする。

 今後のストレージ市場におけるフラッシュストレージの位置づけとして、「ホット、ウォームの領域にあるデータ、つまりアプリケーションや人がアクセスするデータがすべてフラッシュに格納されるだろう」とディーツェンCEOは予測する。普及には価格面で課題があるが、年々下がってきているほか、「HDDは消費電力が高く、冷却も必要。こうしたコストもひっくるめると来年あたりにHDDよりもフラッシュのほうがコストが安くなる」(ディーツェンCEO)見通しだという。

国内市場は伸びしろがあるストレージが産業革命を速める

 国内のストレージ市場をみると、フラッシュへのシフトはまだ十分に進んでいない。「ワールドワイドでみたとき、日本は遅れている。しかし、それはホワイトスペースがあるということだ」とピュア・ストレージ・ジャパンの田中良幸代表取締役社長はそれを好機と捉えている。

 そんな日本市場にこの春投入するのが、次世代SSDの接続規格NVMeに完全対応し、SSDより高速なNANDフラッシュを独自開発して採用した「FlashArray//X」だ。同社ではより高速なエンタープライズクラスのフラッシュアレイ製品として位置づけている。
 

NVMeフル対応の「FlashArray//X」

 ソフトウェアからフラッシュモジュール、コントローラーまで、エンドツーエンドで最適化しており、書き込みの帯域幅は最大2倍、パフォーマンス密度は最大4倍まで高めたという。フラッシュモジュールも1枚で最大18.3TB(テラバイト)の物理容量があり、わずか3Uのベースシャーシで1PB(ペタバイト)以上の有効ストレージを提供できるようになる。また、前モデルの「FlashArray//Mシリーズ」と同じフォームファクターを採用し、FlashArray//Mシリーズを利用している顧客もサービスを止めずにFlashArray//Xにバージョンアップできる。

 「製品面では確実に他社をリードしている」と強気な姿勢をみせる田中社長。大手ストレージベンダーがひしめくストレージ市場は、技術力だけでは生き残るのが難しい。成長分野でどう存在感をアピールするかがカギとなりそうだ。
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外部リンク

ピュア・ストレージ・ジャパン=http://www.purestorage.co.jp/