「セキュリティ機能」を起爆剤に売上拡大へ

 日本IBMは7月27日、都内で報道関係者などに向けた説明会を開き、メインフレームの新製品「IBM z14」をお披露目した。メインフレームは、市場の縮小が続いており、IBMの決算でもマイナス成長の領域だ。しかし、IBMは「データの金庫として、zの需要は今後ますます高まる」と分析。新製品で強化した「セキュリティ機能」を起爆剤に、売り上げの拡大を目指す。(廣瀬秀平)

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米IBM
ロス・マウリ
IBM Z ゼネラル・
マネージャー

 「これは進化ではなく、テクノロジーの革命だ」。説明会で米IBMのロス・マウリ・IBM Z ゼネラル・マネージャーは、胸を張ってz14の魅力を訴えた。

 z14の機能のなかで、マウリ・ゼネラル・マネージャーが最初に言及したのは、技術的に難しかった全データの暗号化を可能にしたセキュリティ機能だ。

 マウリ・ゼネラル・マネージャーは、「サイバー犯罪は深刻な状態で、過去5年で90億以上のデータが被害を受けている」と指摘し、「興味深いのは、被害を受けたデータのうち、暗号化されていたのは、たった4%しかなかったことだ」と述べた。

 そのうえで、「従来は、データの一部だけを暗号化してきたが、これからは全方位でデータを暗号化していくことが重要になる」と強調。暗号化の際、アプリケーションの変更が不要で、パフォーマンスへの影響もないz14のセキュリティ機能は、「非常に大きな前進だ。将来のビジネスで全データの暗号化は必須になる」と訴えた。

 IBMは今回の開発で、世界中の150社以上の顧客に協力を求め、聞き取った要望を機能に反映させた。セキュリティ機能の強化もその一つで、マウリ・ゼネラル・マネージャーは、「z14は、お客様のリアルなニーズに合った製品だと自負している」と語った。
 
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説明会で展示された「IBM z14」

 IBMにとって、メインフレームは、世界で最も大きなシェアを獲得し、成長の原動力となってきた領域だ。しかし、ダウンサイジングの動きが着実に進み、市場規模は縮小傾向。2017年度第2四半期の決算では、メインフレームの売り上げは二ケタのマイナスとなった。
 
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日本IBM
朝海 孝
執行役員
サーバー・システム
事業部長

 それでも、IBMにとっては、重要な事業であることに変わりはない。日本IBMの朝海孝・執行役員サーバー・システム事業部長は、「世界的にみると、新製品が出ると需要が上がり、その後、下がるサイクルを繰り返している。今は需要が寝ている状態で、そこだけをみてビジネスが衰退しているとはいえない」と話した。

 さらに、企業の情報漏えい時の対応ルールなどを厳しく定めた欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)を挙げ、「規則に違反した場合は高額の罰金が科せられる。お客様としては、z14でデータをすべて暗号化した方がはるかに安い」と説明。メインフレームに対するニーズは根強いとの考えを示した。

 マウリ・ゼネラル・マネージャーは、「全方位型の暗号化機能を提供することで、より多くの新しいお客様に興味をもってもらえる」と期待した。また、すでに新規で数社と接触していることを明かし、「四半期ごとに5~15社のお客様が獲得できるだろう」との見通しを明らかにした。