マイキープラットフォーム運用協議会が発足

 地方自治体が、それぞれ独自の仮想通貨を運用する。そんな時代がくるかもしれない。実際にはビットコインのような仮想通貨ではなく、民間企業が提供しているポイントサービスと同様である。ただし、信頼性を確保するためにブロックチェーンの活用を予定しており、仮想通貨を強く意識していることがうかがえる。名称は「自治体ポイント」。地方創生の切り札としての期待から、すでに217の地方自治体が賛同している。(畔上文昭)

マイナンバーの活用を促進

 総務省が主導して進めてきた「マイキープラットフォーム運用協議会」が、8月30日に発足した。同協議会は、活動目的に賛同する地方自治体によって構成される。協議会の名称で使われている「マイキープラットフォーム」とは、マイナンバーカードでさまざまなサービスを呼び出す共通ツールとして利用するための情報基盤を指す。同協議会の目的は、そのプラットフォームの活用を促進することで、マイナンバーカードの普及や利便性向上を目指すところにある。

 2016年1月から交付が開始されたマイナンバーカードは、総務省によると、17年3月8日時点の交付枚数が約1000万枚で、人口に対する交付枚数率は8.4%となっている。交付数を伸ばすには、住民がメリットを享受できる仕組みが必要というわけだ。
 
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会長に就任した飯泉嘉門・徳島県知事(写真中)

 マイキープラットフォーム運用協議会の会長に就任した飯泉嘉門・徳島県知事は、「IoTやビッグデータ、AI、インダストリー4.0といった流れのなかで、日本が世界にどう伍していくべきかが問われている。それを支える基盤がマイナンバー(社会保障・税番号)制度だが、その利便性は国民に理解されていない」と語り、同協議会の役割の重要性を訴えた。

民間企業との連携を強化

 マイキープラットフォーム運用協議会が取り組むのは、各自治体への自治体ポイントの導入である。自治体ポイントは、各自治体が運用し、1ポイントを1円として利用できるようにすることが想定されている。使用できるのは、地域の商店や公共施設などの支払いで、まさに地域通貨としての役割を担う。地方創生につながる施策として期待されるのは、そのためだ。

 これまでも、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)をベースとした地域ポイント(地域通貨)の実証実験が行われてきたが、システムの維持ができないなどの理由から定着しなかった。その課題を克服するべく、自治体ポイントでは主に次の二つの取り組みを行う。
 
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 一つは、システムのクラウド化。自治体ポイント口座を管理する「自治体ポイント管理クラウド」を共通基盤として提供することで、自治体の負担を軽減する。

 もう一つは、民間企業との連携。ポイントサービスやマイレージサービスを提供している企業を募り、各社のポイントを「地域経済応援ポイント」として交換し、自治体ポイントに統合する。自治体ポイントのポイント残高を増やしやすくなるため、地域通貨としての利便性が上がるというわけだ。

 これまでの地域通貨は、自治体が主催するボランティア活動などに参加することでポイントを貯める仕組みになっていたが、そうした活動が地域住民に限られることや、ポイントがたまりにくいなどの課題があった。自治体ポイントでは、民間企業との連携によるポイントの流入が期待される。なお、総務省によると、民間企業では毎年約4000億円相当のポイントが付与されているが、3割から4割は使われずに失効しているという。さまざまなポイントを自治体ポイントに集約すれば、有効活用できるようになるとの期待をもっている。

ブロックチェーンで取引記録

 自治体ポイントの取引履歴は、ブロックチェーン技術を活用し、信頼性を担保する。仮想通貨さながらの環境を整えるというわけだ。ただし、ブロックチェーン技術の導入は、来年度とのこと。9月末には各自治体で実証実験が始まるが、そこに間に合わないことになる。ちなみに、本番運用開始の日程は、今後の検討事項であり、決まっていない。ブロックチェーン技術の導入が来年度で、そこからの実証実験を考えると、早くても19年度ということになりそうだ。

 住基ネットのときには、システムはしっかり機能していたが、住基カードの発行枚数が少ないことで、失敗だとする論調が強かった。マイナンバー制度においても、マイナンバーカードの発行枚数が伸びていないため、同様に指摘されることが危惧される。地方創生が、どこまで追い風となるか。総務省と地方自治体の手腕が問われる。