システム運用の強みを生かしたサービスを立ち上げ

 システム運用を強みとする日立システムズエンジニアリングサービス(日立システムズES、帆足明典社長)は、継続課金(フィー)型とBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)を組み合わせた独自のサービス事業の拡大に力を入れている。この10月からは“フィー型+BPO方式”による「グローバルセキュアデータ転送サービス」を本格的にスタート。IoT/ビッグデータ分析のフィー型+BPO方式による事業拡大にも意欲的に取り組んでいる。(安藤章司)

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帆足明典
社長

 日立システムズESは、システム開発と運用が売り上げのほぼ半々を占める。BPOを含む運用比率が高いのが特徴であり、このノウハウと自社開発したフィー型のサービスを組み合わせることで、より独自性の高い運用ビジネスへと発展させていくことがフィー型+BPO方式の狙いだ。「グローバルセキュアデータ転送サービス」は、「転送サービスそのものを課金型で利用してもらうとともに、ユーザー企業のデータ転送業務もBPOサービスとして当社が請け負う」(帆足社長)というスタイルである。

 データ転送サービスは、製造業のCADの設計データを海外の事業所とやりとりするケースで底堅いニーズがある分野だ。類似サービスが数多くあるなか、日立システムズESはパブリッククラウド上にデータ転送の仕組みを構築し、データの効率的な転送やセキュリティ対策を含めた運用を請け負うことで差異化を図る。ユーザー企業にとっても、データ転送ツールを購入して、自分たちで運用する従来型の方式より、丸投げできることにメリットを感じると、日立システムズESではみている。

 データ転送の仕組みは、転送する前にデータを断片化して、断片単位では何ら意味をなさないようにする方式を採用。転送先で再結合することでデータを復元する非暗号方式である。欧州や中国などで暗号通信に規制をかける動きがあるが、非暗号方式ならば規制をクリアできる。また、ASEANの一部の国では通信状態が不安定で、大きいデータはそのままでは転送しづらい。データを小分けにしたほうが転送効率がよくなるメリットがある。国・地域の規制や通信事情を日立システムズES側で吸収することで、ユーザーは本業に専念できる。

 同様に、日立システムズESが得意とするIoTとビッグデータ分析を使った商材にもフィー型+BPO方式の組み合わせを推進していく。同社では、ビーコン(無線標識)を使って倉庫内の物品管理や紛失防止、小売店舗内での顧客の流れを分析するといった分野で豊富なSI実績を誇る。例えば、小売店舗で買い物カゴやカートにビーコンを取り付けて顧客動線を記録。これをビッグデータ分析にかけることで、客がどういう経路で、どの商品棚の前に滞留し、結果としてどの商品を購入したのかといったことがわかる。これによって、より売り上げや利益に結びつく商品配置を検証したり、チラシや販促キャンペーンが実際にどのような宣伝効果をもたらしたのかを測定。従業員の配置を見直すなどの施策に反映できる。日立システムズESでは、こうしたIoTとビッグデータ分析をフィー型+BPO方式の手法によって継続的な店舗改善につなげていく考え。

 直近では、システム運用の売上高比率が約50%を占めるが、フィー型+BPOの事業拡大によって、早い段階で60%程度に高めていく。