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汎用量子コンピューターの活用へメガバンクが調査研究を本格化 MDRと三菱UFJ銀行が共同研究を開始――MDR

2018/09/03 09:00

週刊BCN 2018年08月27日vol.1740掲載

  量子コンピューターに関するハードウェアやミドルウェア、アプリケーションを開発するMDRと三菱UFJ銀行は、量子コンピューターの金融分野での活用に向けた共同研究を開始した。研究対象とするのは、「汎用量子コンピューター」と呼ばれる量子ゲート方式の量子コンピューター。量子ゲート方式は、グーグルやIBM、マイクロソフトなどによって開発競争が過熱していることもあって、性能向上が著しく、さまざまな分野で活用に向けた研究が始まっている。金融業界はITに大きく依存しているだけに、量子コンピューターの急激な進歩は無視できない状況にある。

MDR
湊 雄一郎代表取締役
 三菱UFJ銀行がまず取り組むのは、量子ゲートマシン上でのアニーリング処理と、暗号通信などのセキュリティ関連。アニーリングは組み合わせ最適化問題を解くのに最適な処理方式であり、量子ゲート方式と並ぶ量子コンピューターの二大方式の一つである。そのため、最初からアニーリングマシンを活用すればよいことになるが、三菱UFJ銀行が量子ゲートマシンの研究に取り組むのは先々を考慮してのことだという。

 「量子ゲートマシン上でも、アニーリングの処理を実行することができる。であれば、より汎用的な活用が想定される量子ゲートマシンに取り組むというのが、三菱UFJ銀行の考え。また、アニーリングマシンはポートフォリオの最適化に活用できるが、現時点では現場のニーズに対応できる性能に至っていないと判断している」と、三菱UFJ銀行の方針についてMDRの湊 雄一郎代表取締役は説明する。量子コンピューターの本命は、適用範囲が広い量子ゲート方式という考えだ。なお、現時点では量子ゲートマシン上でのアニーリング処理は、アニーリングマシンよりも劣るといわれているが、三菱UFJ銀行ではその真偽についても調査研究を進めていく。

 量子コンピューターは、製品化に向けた動きが加速しつつあるが、活用方法については世界中で模索している段階。この状況を考慮し、MDRと三菱UFJ銀行は共同研究の期限を設けていない。(畔上文昭)
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