製造部品メーカーのTHK(寺町崇史社長)は、製造装置部品にセンサーを取り付け、部品の損傷具合から製造装置の故障予兆を検知するIoTサービス「OMNI edge」を構築した。2019年春の商用化を目指し、協業するNTTドコモ(吉澤和弘社長)、シスコシステムズ(デイヴ・ウェスト社長)と検討段階に入る。

THK
寺町崇史
取締役専務執行役員

 THKは、機械を真っ直ぐに動かす時の案内部分に使う直線案内部品「LMガイド」で5割を超える世界シェアを持つ。LMガイドは、長年運動を繰り返すことにより摩擦などで部品が損傷し、振動に変化が生じる。これをLMガイドに取り付けたセンサーがキャッチし、アンプで分析、摩耗状況などを数値化することで、機械が壊れる前に部品を交換できるようにする。

 アンプで分析したデータはシスコのルーターなどから、ドコモの閉域ネットワークを通してデータセンターに送り、管理する。ドコモのネットワークを利用することで、国ごとの煩雑な回線手配をしなくても、海外拠点でも同様のサービスを展開できる。
 
LMガイドにセンサーを取り付け、振動により損傷状態を検知する

 現在の製造現場の課題について、THKの寺町崇史・取締役専務執行役員は「製造装置の保守点検は手作業で、さらには熟練作業者の感覚、経験に頼っている。人手不足、スキル不足に対する懸念が高まっている中、故障予兆検知システムのニーズは高い」と説明し、OMNI edgeの普及に期待を寄せた。

 また、導入・稼働中の製造装置に後付けで追加できる点が特徴で「SIerを介さずに利用できるサービスを目指した」と寺町専務は言い、中小製造業など専門のIT技術者がいない工場でも簡単に導入できるという。サービス開始当初の対象は、LMガイドを部品として使っている製造装置を導入している製造業者。対象部品は今後追加していく。

 今後は、THK、ドコモ、シスコの3社で商用化に向けて詳細を固めていく。具体的には来年1月末まで試験導入を希望するエンドユーザー50社を募集し、2月からトライアルキットを無償提供する。販売価格やビジネスモデルはトライアルを通じて今後詰めていく。ドコモの古川浩司・取締役常務執行役員は「初期コスト不要の月額払い」を検討しているという。(山下彰子)