テラスカイ(佐藤秀哉社長)は11月27日、東京証券取引所マザーズ市場から同取引所市場第一部へ市場を変更した。同社は2006年の創業時から、黎明期にあったクラウド事業に専念。その後に急拡大するクラウド市場とともに成長してきた。

竹澤聡志取締役CTO(右)とR&D部の須郷聖也氏

 クラウド市場は現在も拡大の一途をたどっているが、東証一部上場を果たしたことにより、「先進のテクノロジーと最適な選択で、成功を共有する」という経営理念に基づき、新たな事業への投資も強化していく。その一つが、量子コンピューター関連の事業だ。

 「R&Dの部門では、AIやIoTなど、六つのテーマを掲げ取り組んでいる。その中の一つが、量子コンピューター。当社はSalesforceやAWS(Amazon Web Services)のインテグレーションを手掛けてきているが、それらと量子アニーリングは親和性が高いと考えている。また、量子ゲートについては、新規のビジネスとしての展開を期待している」と、竹澤聡志取締役CTOは量子コンピューター事業の展開について語る。量子コンピューターには量子アニーリング方式と量子ゲート方式があるが、テラスカイでは両方式に取り組んでいる。

 多くのSIerは、関心こそあるものの、量子コンピューターへの取り組みを時期尚早と考えている。ビジネスにおける活用方法が確立していないのと、商用に耐え得るマシンの登場は何年か先になるとされているためだ。とはいえ、量子アニーリングマシンは、カナダのD-Wave Systemsがサービスを提供していて、富士通はデジタル回路を用いたアニーリングマシンのサービス提供を開始している。これらに関心を持つユーザー企業も多い。

 「どのマシンにも対応できるように準備しているが、アニーリングの処理は、ある程度がシミュレーターで対応できる。ビジネス課題に対し、アニーリングマシンが使えるとしても、もっといい手法がほかにあるというケースも多い。柔軟に対応するためにも、まずはシミュレーターを活用する」と竹澤CTO。量子アニーリングマシンの活用は、これまでのコンピューターとは求められるノウハウが大きく異なる。テラスカイは、コンサルティングやPoCによって顧客とともにノウハウを積み上げることで、最適な活用方法を見極めつつ事業化を進めていく考えだ。

 一方の量子ゲートマシンは、まだ量子ビットの数が少なく、エラー率も高いため、商用利用までには10年以上かかるといわれることがある。量子ゲートマシンは開発競争の最中にあるが、R&D部の須郷聖也氏は実用化について楽観視している。

 「少ない量子ビット数でも有効に機能するようなアルゴリズムが出始めている。量子ゲートマシンの活用手法が進歩すれば、一般にいわれているよりも早く、量子ゲートマシンの商用利用が可能になるかもしれない。また、ここ数年で量子ゲートマシンの開発に向けた投資額が急増している。開発スピードも変わってくるはずで、そこは大いに期待している」

 量子コンピューターは発展途上にあるだけに、ユースケースの蓄積が最大の武器となる。テラスカイは、他社に先駆けて量子コンピューター事業を推進することでノウハウを蓄積し、近未来の市場での地位確立を目指す。(畔上文昭)