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日立システムズ、FutureStageのクラウド版を販売開始 、ノーコード・ローコード開発機能を搭載
2025/07/25 09:00
応研の開発フレームワークを採用
日立システムズのFutureStage 販売・生産管理は、1987年に販売を開始して以来、累計4500システム以上を納入してきた実績あるパッケージ製品。今回新たに販売を始めるFutureStageクラウドは、既存のパッケージ版をベースに、応研とのパートナーシップに基づいて開発している中堅・中小企業向けのクラウド型ERPとの位置付けだ。ソースコードを変更する開発方法 ではなく、ノーコード/ローコード方式でのカスタマイズに対応するとともに、財務会計などの既存システムやサプライチェーンなどの業務フローと連携する能力に優れている。
応研とのパートナーシップでは、応研の業務ソフトシリーズ「大臣エンタープライズ」の開発フレームワークを活用し、ノーコード/ローコード方式でカスタマイズができるようにした。ソースコードに変更を加えないため、法規制対応や最新OSへの対応など日立システムズによる定期バージョンアップを妨げず、「常に最新規制への対応やOS環境で動作する販売・生産管理が継続して利用できるメリットがある」と、産業・流通事業グループ産業・流通情報サービス第二事業部の橋本和人・事業部長は強調する。

事業部長
FutureStageクラウドは「Lite版」と「Standard版」 の2種類を開発中で、前者は年商10~30億円、後者は年商30~300億円の企業を主な利用対象としている。Lite版 は標準機能の運用を基本とし、帳票の入力画面のカスタマイズなどをノーコード方式で行える。ITの専門的な知識がなくてもユーザー企業が使っている帳票レイアウトに合わせられ、短納期で本稼働にこぎ着けられるのが特長だ。Standard版 はユーザー企業の業務に合わせてローコード方式でプラグインを開発し、機能拡張を行える。
既存システムや業務フローと連携
ノーコード/ローコード方式でのカスタマイズに加えて、既存の業務システムや業務フローとつなぐことで、「分断のないシームレスな業務システム、業務フローの構築が可能になる」と、橋本事業部長は述べる。開発フレームワークを共有する応研の大臣エンタープライズシリーズの財務会計はもとより、電子データ交換(EDI)や製品ライフサイクル管理(PLM)、統合部品表(BOM)、製造実行システム(MES)など生産管理に必要なさまざまな業務システムとの連携を実現。業務フローの面ではデマンドチェーンやサプライチェーンなど取引先から現場までのバリューチェーンをシームレスにつなぐことを可能としている。
日立システムズが取り扱うEAI(業務アプリケーション統合)ツールやSI能力、業務アプリベンダーとの協業により、「ERPをつくり込まず、つなげるコンセプトを重視する」(橋本事業部長)ことで、IT予算が限られる中堅・中小企業ユーザーが導入しやすい価格帯での提供が可能となる。
FutureStageクラウドを支えるIT基盤については、体系化した「Hitachi Systems Managed Services」から、クラウド基盤や高いセキュリティ性を担保するサービスを採用し、中堅・中小企業向けにリーズナブルな価格で提供する。また、将来的には日立グループのAIエージェント技術を活用した業務の自動化機能の開発も視野に入れている。
全国の間接販売チャネル網を構築
FutureStageクラウドは販売方法も大きく変える。パッケージ版のFutureStage 販売・生産管理は日立システムズによる直販がメインだったが、FutureStageクラウドではパートナーを経由した間接販売に取り組む。FutureStageクラウドはノーコード/ローコード方式でのカスタマイズに限定していることや、既存の業務システムや業務フローとのつなぎ込みを前提とした設計を採用していることから、「これまでFutureStageを取り扱ったことのないパートナーでも比較的容易にユーザー企業先への実装が可能になる」と、産業・流通営業統括本部第一営業本部の小島正敬・本部長は話す。

本部長
パッケージ版の販売状況をみると、納入先全体の7割を製造業が占め、残り3割は流通卸の比率となっている。見込み生産、受注生産、個別生産といった多様な生産方式に対応し、それらを組み合わせた混在方式の併用も可能なハイブリッド型生産管理システムが高く評価されていることから、製造業の比率が高くなる傾向があった。FutureStageクラウドでは販売管理機能を強化することにより、製造業と流通卸のユーザー比率を半々にすることを想定している。
FutureStageクラウドの間接販売チャネルについては、向こう5年で30社ほどのパートナーを募り、全国の中堅・中小企業ユーザー向けの販路網の拡充を推し進める。売り上げ目標については30年度に300億円、納入企業数350社をめざしている。

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外部リンク
日立システムズ(FutureStageのWebサイト)=https://www.hitachi-systems.com/ind/fs/