Special Issue
サイバーリーズン 新社長が語る成長を加速させるための戦略的投資 顧客の声を基に製品、サービスを磨き、パートナープログラムを強化
2025/07/10 09:00
週刊BCN 2025年07月07日vol.2066掲載
――最近のサイバーリーズンのトピックと、桜田社長が同社に入社することになった経緯を教えてください。
近年、壁を破らせないよう防御を固めるこれまでのアプローチに代わり、あらゆるアクセスを信頼せずに検証する「ゼロトラスト」という考え方が広がっています。攻撃者に侵入されても速やかに検知して実害がおよぶ前に対応する「EDR」はその最後の砦で、サイバーリーズンは10年近く提供してきました。

桜田仁隆 代表執行役員社長
サイバーリーズンでは、EDRを主体にしつつも、ネットワークやクラウド、アイデンティティーといったIT環境全体のログを解析して攻撃に対処する新たな領域の「XDR」を立ち上げることになり、その責任者として私は22年5月に入社しました。新しいことが好きという性分に加え、さまざまな製品が連動して多角的な目線から一つの攻撃の流れをつかみ、統合管理していくことの重要性を常々感じてきたことも入社の背景にあります。
――社長就任に際して掲げた「顧客第一主義」「製品及びサービスの革新」「ソリューション提案力の強化」という三つの柱の概要をご説明ください。
一番重要なのは、日本市場で約10年にわたって提供してきたEDRと、当社が提供して高い評価をいただいているMDRのお客様を大事にすることです。それは今後も変わらずに注力します。
Cybereason EDRは米MITRE(マイター)による調査「MITRE ATT&CK Evaluation」でも高く評価されていますが、攻撃もどんどん進化しているため、引き続き検知力や分析能力、可視化能力や品質の向上に努めていきます。サイバーリーズンはグローバルに事業を展開していますが、開発拠点を日本にも置いています。営業と開発の距離が近いため、日本のお客様の声へ真摯に耳を傾け、密に連携して製品に落とし込むことが可能です。また、MDRの母体であるグローバル・セキュリティー・オペレーションセンター(GSOC)において日本拠点の人員を大幅に増やしていきます。
同時に、お客様の声を聞きながら次の一手をしっかり見定めていきます。EDRやMDR、XDRを進化させるだけでなく、モバイル(MTD)やクラウドネイティブ(CNAPP)の領域でもお客様を支援していきます。サービスについては、今後も新サービスを開発し、お客様の安全な環境を実現してまいります。直近では、内部と外部のリスクを可視化する「Cybereason ASA(Attack Surface Assessment)」を6月10日に提供開始しました。このような取り組みはセキュリティーという鎖をかたちづくるリンクを一つずつ吟味し、しっかりとつくって組み立てていくことに他なりません。
ただ、その鎖の中にはサイバーリーズンだけではカバーできない領域もあります。そこを補う重要な存在がパートナー様です。過去3年間で飛躍的な成長を遂げ、当初の十数社から、現在はサブリセラーを含めて400社以上に急増しました。当社のソリューションをより広く展開するためには、パートナー様との協力が不可欠です。
――具体的には、パートナー向けにどのような取り組みを進めるのですか。
今後は製品のAPIをさらに高度化して外部環境との連動性を高めるだけでなく、既存のパートナープログラムを見直し、「より付き合いやすい会社」を目指していきます。例えばパートナー様向け情報提供サイトを刷新し、情報提供の質とスピードを向上させ、パートナー様がそれぞれの顧客により刺さる提案を行えるよう支援していきます。そして、検証環境の提供のあり方や技術者向けトレーニングも発展していく方向です。
――三つの方針を推進することで、ビジネスにどのような効果が生まれるのかをお教えください。
処理能力や検知能力の向上、不具合対応スピードの改善、そしてオプションとして提供できる機能の拡大といった根本的なアーキテクチャーがさらに改善され、サービスを含めお客様にさまざまな付加価値を提供できるようになると考えています。それを目指し、目先の売り上げに一喜一憂せず、26年以降の成長を見据えて戦略的な投資を進めている最中でもあります。
――最後に、週刊BCN読者へのメッセージをお願いします。
現行のEDRとセキュリティーサービスを強化しながら、サイバーリーズンのソリューションを拡張し、非常に効果的で検知力の高い、安心してお使いいただける環境を提供していきます。ぜひご期待ください。
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