日本オラクルが、中堅・中小企業向け営業組織のための新たなセールス拠点「Digital Hub Tokyo」を本社内に新設した。さまざまなコミュニケーションツールを駆使し、地方を含む全国の中堅・中小企業に向けて、同社のクラウドサービスを直接提案する。

オラクル・デジタル本部長を務める本多充執行役員(左)と善浪広行執行役員。
かつてはそれぞれ通信、金融という最も“堅い”業界を担当していたが、
現組織の立ち上げ以降は服装もカジュアルを意識


 同社は2017年6月、中堅・中小企業顧客に特化したデジタル営業組織「Oracle Digital」を立ち上げており、組織の規模は現在約300人にまで拡大している。大手SIerと連携して行う大企業向けの事業とは異なり、メールや電話、ソーシャルメディア、オンラインセミナーなどの手段を用いて、同社が顧客に直接アプローチするのが特徴だ。

 オラクルが中堅・中小の市場でビジネスを拡大するためのキーワードが、なぜ「デジタル」なのか。オラクル・デジタル本部長で、アプリケーションの領域を統括する善浪広行執行役員は、その背景を「中堅・中小企業のほとんどは、ITに長けた人材の数が限られている。老朽化したシステムの刷新や、デジタルマーケティングなどに取り組みたいと考えても、人手やノウハウの不足で着手できていない企業が多い」と説明する。

 これに対して、オラクルが幅広い同社製品でクラウド対応を進めたことで、従来は大企業にしか導入できなかった製品を、中堅・中小企業にも比較的安価に提供することが可能となった。同じくオラクル・デジタル本部長で、IaaS・PaaS領域を統括する本多充執行役員は「これまで、中堅・中小企業向けに機能を絞ったOracle Databaseを販売したこともあったが、Oracle Digitalでは、エンタープライズ市場で揉まれてきたテクノロジーをフルセットでご提供する」と話す。善浪執行役員によると、新体制での営業活動を約1年半行ってきた中では、「当初私たちが想定していたよりも、大型の案件が多い」といい、自律型データベース「Autonomous Database Cloud」の導入や、レガシー化していた基幹システムの「Oracle Cloud」への全面移行などに発展するプロジェクトも出てきているという。

 昨年末に開設したDigital Hub Tokyoは、東京・北青山の本社内3フロアを占めており、全社員の座席がデュアルディスプレー装備となっている。遠隔地にいる顧客と同じ情報を共有しつつ、ビデオ会議やライブデモなどを通じて提案できるほか、社員間の情報共有にも力を入れており、打ち合わせスペースなどにも多くのスペースを割く。

 Oracle Digitalの組織化はオラクルがグローバル共通で推進する戦略だが、本多執行役員は「市場に向かってダイレクトに出て行こうとしているのは間違いないが、特に日本市場ではパートナリングにも力を入れていく」と述べ、国内におけるパートナービジネスの重要性を強調する。

 ただし、一般的には中堅・中小市場攻略のためのパートナーというと、ビジネス規模をスケールアウトさせるための販売チャネルがイメージされるが、同社が今求めているのは販社ではなく、クラウドを用いたSIスキルに長けたインテグレーターだ。パートナーがオラクルの製品を販売するのではなく、クラウドの取り扱いが得意な“とがった”技術をもつSIerと組み、むしろオラクル側が営業・マーケティング機能を担うことで、双方のビジネスを拡大していく図式を描く。また、これまで中堅・中小企業とはあまり接点のなかったコンサルティングファームなども、デジタルトランスフォーメーションの先進事例を作るべく、小回りの利く中堅・中小企業に注目しており、Oracle Digitalのパートナーとなって顧客のビジネス変革支援に動いている例があるという。(日高 彰)