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日本オラクル アシストが自律型DB「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」を検証

2018/06/28 09:00

週刊BCN 2018年06月25日vol.1732掲載

 発表以来、大きな注目を集める日本オラクルの自律型データベース(DB)クラウド「Oracle Autonomous Database Cloud」。アシストでは、その第一弾サービス「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud(ADWC)」をいち早く検証した。実質、チューニング工数はゼロで、ベテランDBエンジニアとの比較でも80~90点は取れるチューニングが可能。ワークロード全体を継続的に自動で改善できるなど、運用面を含めたメリットは非常に大きいという。

チューニングはお任せで、ワークロード全体を継続的に自動改善


ベテラン管理者に近い性能を実作業ゼロで達成

 
アシスト
関 俊洋
データベース技術本部
技術統括部 技術1部
課長
 アシストは、オラクルの日本法人設立前からOracle DBを取り扱ってきた歴史があり、3000社もの豊富な導入実績と経験、知見を誇っている。

 「これまでもお客様に安心して利用してもらえるよう、当社は新製品のリリース前に必ず事前検証を実施してきた。今回のオラクルによる自律型DBのリリースは、データベース管理者(DBA)の業務範囲が拡大するなかで大きな注目を集めていた。私のまわりでも、こんなサービスを待っていたという声がある一方で、本当に大丈夫かという懐疑的な声もあった。それなら実際にADWC先行提供環境(商用)で検証してみようということになった」と関俊洋・データベース技術本部技術統括部技術1部課長は背景を説明する。

 検証は、3月末から4月末にかけて実施し、若手(3年目)、中堅(6年目)、ベテラン(18年目)という3人のDBエンジニアによる作業とADWCをSQL13本の処理で比較した。若手はチューニングや運用管理は基本的にツール頼みで、中堅はある程度までの手作業が可能、ベテランは経験にもとづいたチューニングおよび運用管理が可能というエキスパートだ。

 まず、ADWCの検索処理性能について検証し、各エンジニアが3日間かけてチューニングしたオンプレミスの「Oracle Exadata(Exadata)」との性能比較では、ADWCは基本的にデータのロードのみで実作業はゼロでありながら、かなりのパフォーマンスを発揮したという。
 

 「クラウドと物理占有の差を考慮してもかなりの高性能で、若手はいうまでもなく、中堅よりも高い性能を示した。さすがに、ベテランとの比較では劣っていたが、それでも80~90点は取れるだけの性能を達成している。チューニング工数が不要で、手軽かつすばやくこれだけ高性能のDBを手に入れられるのであれば、期待以上の性能だといえる」と関課長。

 また、チューニングの手段や深さについて、ベテランDBAがチューニングしたオンプレミスのExadataとの性能を比較した。ADWCには現時点で設定できない機能があり、深いチューニングはコンセプト外になっているものの、「DBAによる手作業には工数的な限界があるが、ADWCはスポットではなく継続的に全体を自動チューニングできるという強みがある」と話す。

 さらに、他のDB(DBaaS)との性能比較(SQL13本)も実施したところ、全体的に他社DBaaSを上回る結果となった。とくに、Exadataの機能やOracle DB独自の実行計画が効く処理では有利になりやすいという。また、検証中にもアップデートが続いていたことから、今後の改善にさらに期待を示している。

 メリットはコストパフォーマンスにも如実に表れた。「他社DBaaSとの比較において、SQL個別でみると最大で約10倍もの大きな差が出た。しかも、特有のノウハウなど必要とせずにこれだけ高いコストパフォーマンスを享受できるメリットは大きい」と関課長は評価している。

運用面でも大きなメリット 自律型は常に進化が続く

 今や担当業務がインフラ全般にまで拡大しているDBAにとって、構築時以上に日々の運用に関わる業務負荷を軽減できるかという点への関心は高い。そこでアシストでは、スケールアップやバックアップ、トラブル時の対応についても検証を実施し、運用面での効果について評価した。

 スケールアップについては、うたい文句の通りに無停止で実施できるかを検証した。その結果、本当に無停止で処理実行中に実施できることを確認した。

 「他社DBaaSの場合、スケールアップする際には読み取り専用に変更する必要があるが、ADWCは無停止で実行できた。さらに、CPUやメモリだけでなくI/O性能も無停止で向上する。これはADWCならではのユニークな特徴だ」と関課長。

 バックアップについては、特別な設計は不要で週次フル、日次増分を自動取得し、必要なら手動バックアップも可能としている。また、直前まで復旧できるためオペレーションミスにも対応できるという。設計工数がゼロでリカバリも容易なため、「通常ならバックアップ設計、実装、テスト工数に2~3週間程度を要するが、ADWCは半日以下ですむので、大幅な工数削減が期待できる」(関課長)。

 トラブル時の対応では、問題の切り分けを中心に検証。「ログ情報など参照できる範囲は限られるが、言い換えれば基本的にみる必要がないサービス設計といえる。また、オラクルクラウドは世界中で多くの同一構成が動いているので、問題解決速度はオンプレミス環境よりも早いはず」としている。

 今回の検証を通じて総括した関課長は、「現時点の自動チューニングは、すべてが100点ではないものの、80~90点の性能を楽に入手できる。しかも、自律型のため常に進化を続けて、ワークロード全体を継続的に改善し、将来的には100点に近づくだろう。当社としても、Oracle Autonomous Data Warehouse Cloudを核に、当社が取り扱うBIツールやETLツールと組み合わせ、独自ソリューションとしてお客様に提案していきたい」と抱負を語る。
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外部リンク

日本オラクル=https://www.oracle.com/jp/