ワークスアプリケーションズ(牧野正幸CEO)の業績が思うように伸びていないようだ。2017年6月期の連結売上高は、前年度比22%増の500億円余りだったのに対し、18年6月期は452億円と減収。17年に100億円規模の資金調達に成功し、再度の株式上場を視野に入れている同社だが、一方で、17年には顧客の兼松エレクトロニクス、18年には古河電気工業と訴訟沙汰になっている。

 ギクシャクする背景として、同社のERP(統合基幹業務システム)のビジネスは非常に特徴があることが挙げられる。大企業向けERPにありがちなカスタマイズによるコスト増を抑えるため、「ノーカスタマイズ」を基本とし、顧客が必要とするであろう機能をあらかじめERPパッケージの標準機能として実装。その後、必要になった機能も「無償バージョンアップ」というかたちで順次パッケージに取り込んでいく。ユーザーが増えれば増えるほど必要となる機能が増え、パッケージの完成度が高まり、生産性が向上する仕組みだ。

 最も早いタイミングで製品化した人事給与パッケージでは、この“ワークスモデル”が大成功し、一躍国産ERPベンダーとして誰もが知る存在になった。ところが財務会計や販売管理、ネット通販など製品ラインアップを広げていくと、必要とされる機能全てをパッケージでカバーするには、どうしても先行して開発費用がかさんでしまう。不動産管理や輸出入管理、自治体など業種対応を進めると、なおさら開発工数が増える。機能の実装が遅れると、機能追加を首を長くして待っているユーザーの不満が高まることが想像できる。また、売り上げ減は、ユーザーの不満を解消するため受注を抑制した可能性も考えられる。

 さらに「日本企業の情報投資効率を世界レベルへ」を合い言葉に、現行製品の「COMPANY」に加え、人工知能(AI)型ERP「HUE」の開発にも力を入れる。これら一連の先行投資の費用が重くのしかかるとともに、製品開発のための人員の拡充や自社研究所の開設などによって、従業員数も年商500億円クラスではやや過大な約6800人に増加。見方を変えれば、こうした資金的な困難を乗り越えることができれば、斬新なビジネスモデルを誇る同社は、名実ともにグローバルで競争できる国産ERPベンダーになる潜在力を持っている。引き続き資金を調達し続けられるかどうかが、カギを握る。(安藤章司)