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ブロックチェーンのソラミツ、日本発のHyperledgerプロジェクト「Iroha」の商用バージョン1.0、正式認定に

2019/06/02 10:00

週刊BCN 2019年05月27日vol.1777掲載

 ブロックチェーン・ベンチャーのソラミツ(岡田隆/武宮誠・共同代表)は5月8日、同社が開発したブロックチェーンフレームワーク「Iroha」の商用バージョン1.0が、非営利団体The Linux Foundationが主催するブロックチェーン技術の共同開発プロジェクトHyperledgerに正式認定されたと発表した。

 IBMが主導した「Fabric」、インテルが主導した「Sawtooth」などに次ぐ、世界で4番目に商用バージョン1.0として認定されたブロックチェーンとなった。
 
左からソラミツの宮沢正和・SORAディレクター、
クオンタムリーブの出井伸之CEO、THE Linux Foundationの福安徳晃氏、
Hyperledger理事の長 稔也氏

 2016年2月に設立されたHyperledgerは、ブロックチェーンの開発と活用をオープンソースで推進するコミュニティーで、270社以上が参加している。AWSなどのクラウドベンダーがHyperledgerから生まれた技術をベースにBlockchain as a Serviceの提供を始めるなど、実用化の段階に入りつつあり、同組織のウェブサイトにも約60の事例が紹介されている。 

 そうした中で、日本企業としていち早く実用化に向けたブロックチェーン開発に取り組んできたのが、16年2月に創業したソラミツだ。18年12月にIrohaのα版を出し、セキュリティや安定性、耐久性など商用化に向けた改善を図ってきた。この間に、カンボジア国立銀行やモスクワ証券取引所グループなどとIrohaを活用した実証実験や共同開発を手掛けてきた。国内でもSOMPOホールディングスや、あいおいニッセイ同和損害保険と契約管理用途で、また楽天証券とは本人認証への活用で実証実験を実施してきた。会津若松市では、会津大学や東京大学などと組み、地域通貨の実証実験も行った。

 日本市場を担当する宮沢正和・SORAディレクターは、Irohaの特徴として「ダウンロードし、10分程度で動かせる」という導入の容易さに加えて、デジタル資産管理、マルチシグニチャーによる署名管理、高度なアクセスコントロールなどの機能を備えている点を挙げる。宮沢SORAディレクターは「必要な人が必要な情報のみにアクセス可能なプライバシー保護や利用者保護の機能もある」と、ビットコインなどとの違いを強調する。

 ソラミツは今後、デジタル通貨と本人認証、契約管理の自動化の3分野の市場開拓に力を入れる。また、開発・普及への体制も整える。7社の開発パートナー、43社のユースケースパートナー/開発パートナーと協業する方針。THE Linux Foundationの福安徳晃氏は「1994年頃のインターネットの黎明期と同じ状況」と、ブロックチェーン技術の普及はこれから本格化すると予想する。会見の応援にかけつけたクオンタムリーブの出井伸之CEOは「ブロックチェーンで、どんな新しいビジネスが生まれるか注目したい」と期待を寄せた。(田中克己=IT産業ジャーナリスト)
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