TDCソフト(小林裕嘉社長)は、顧客のデジタルビジネスに直接的に貢献するSIビジネスを伸ばす。同社は業務的な課題を解決する従来型のSIを「課題解決型」とし、新しいデジタル技術によって顧客の売り上げや利益に直結するSIを「価値創造型」と分類。この分類方法を昨年度の売り上げに当てはめると、価値創造型SIの構成比は3%程度だった。2021年度(22年3月期)までの3カ年中期経営計画では、この割合を「20%程度まで拡大させる」(小林社長)ことを目標に掲げ、価値創造型のSI比率を高めていく。

小林裕嘉社長

 目標達成に向けた施策として、今年度から顧客のデジタルビジネスの立案を支援する「ビジネスアーキテクト」を配置。従来のITによる課題解決ではなく、新しいビジネスを立ち上げることを主眼に置いた活動を展開する。

 組織的には「ビジネスイノベーション本部」と「デジタルテクノロジー本部」を今年度から立ち上げ、前者は顧客のデジタルビジネスの立ち上げ支援、後者は技術的な部分を担う布陣とした。デジタルテクノロジー本部では、大規模な基幹系システムに対処可能なアジャイル開発の手法や、既存システムのマイクロサービス化などの比較的新しい技術習得や人材育成に取り組む。小林社長は、「ビジネスとテクノロジーを車の両輪として機能させる」と話す。

 一方で、顧客の業務システムの請け負い開発といった従来の「課題解決型」のビジネスも引き続き伸ばしていく。請け負い開発は依然として強い引き合いがあり、昨年度(19年3月期)までの中期経営計画は売上高、営業利益がともに期初目標を達成する原動力となっている。向こう数年の請け負い開発に対する顧客の需要も大きいと見られるが、ここに人員を多く割り当てすぎると、「価値創造型」のビジネスを担う人的リソースが逼迫しかねない。このため「顧客の要望を満たしつつ、できる限りの自動化、省力化を進めていく」(小林社長)ことで、人的リソースの最適配置を進めていく。

 中期経営計画では、向こう3年で昨年度比12.8%増の300億円、営業利益率は8.1%から9.0%まで高める計画。最先端のデジタルビジネスを支える技術開発や人材育成への投資を優先させることから、利益面では保守的な計画とするとともに、「次期中計で大きく成長していくための助走期間」(小林社長)と位置付ける。

 小林社長は、今年6月27日に専務取締役から社長に就任。TDCソフトが独自に開発した業務システムや、外部のERP(基幹業務システム)やCRM(顧客管理システム)、営業支援システムなどを活用したSI事業を長く担当してきた。先端技術を駆使したビジネスを得意とし、TDCソフトにとって大きな挑戦となる「価値創造型」のビジネス立ち上げの陣頭指揮を執る。(安藤章司)