デル(大塚俊彦社長)は、政府が2020年度補正予算案に「GIGAスクール構想」の前倒しを盛り込んだことを受け、全国の小中学校・教育委員会に対するChromebookの提案を強化する。予算と期限が限られる中で、クラウドを活用した授業をスムーズに導入するには、シンプルでG Suiteとの親和性も高いChromebookが受け入れられやすいとみている。

 文部科学省は昨年12月にGIGAスクール構想を打ち出し、2023年度までに全ての小中学校・高校・特別支援学校で、児童・生徒1人1台の学習用端末と校内ネットワーク環境を整備することを目指していた。しかしその後、新型コロナウイルスの影響が深刻化。政府は緊急経済対策の中でGIGAスクール構想の前倒しを発表した。20年度補正予算案には、小中学校と特別支援学校での1人1台端末の早期実現のためとして、1951億円が計上された。この補正予算案が成立した場合、21年度以降での整備を見込んでいた端末需要が、20年度途中から上乗せで舞い込むことになる。

 デル クライアント・ソリューションズ統括本部ビジネス・ディベロップメント事業部で教育市場向けの事業開発を担当する飯塚祐一氏は、「ユーザーが求めるものをきちんと提供できることが重要だと考えている」と話す。同社としては教育現場からのWindows PCとChromebookの両方の要求に対応可能であるとした上で、これまで教育市場へ製品供給をしてきた経験と、1台あたり最大4万5000円という補助金の額を考えると、小中学校にはChromebookを提案する機会が増える可能性が高いと説明する。

 飯塚氏によると、学校・教育委員会からは、グーグルの教育機関向けクラウドサービス「G Suite for Education」を使いたいという要望が多いという。加えて、教職員は新たな学習環境への対応を前倒しで迫られる格好となるが、これまで多機能なIT機器を導入した学校では、ITに関心の高い一部の教員しか使いこなせないといった問題が頻発。飯塚氏は「現場からは『一度に多くの新しいものが来たら対応できない』という反応が多いが、Webブラウザを使ったことがない人はいない」と指摘し、端末の機能が基本的にWebブラウザだけに限定されているChromebookの分かりやすさが強みになると見る。

 また、CPUの調達が難しい状況が続いている中で数百万台の需要が前倒しとなるが、同社は「19年も国内法人向け市場で着実にシェア、台数を伸ばしてきた」(飯塚氏)といい、製品供給体制の盤石さも“GIGAスクール商戦”では大きな武器になるとしている。また、GIGAスクール構想が直接の追い風になるのはPC・タブレットやネットワーク機器だが、一部の教育委員会は学習ログの分析・活用なども視野に入れており、サーバーやストレージなどの案件に拡大するケースもあるという。端末を切り口としながら、将来的には教育現場のITインフラの最適化も手がけていきたい考えだ。(日高 彰)