日本オラクル(ケネス・ヨハンセンCEO)は7月13日に記者会見を開催し、パブリッククラウドの新サービス「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」の国内展開について説明した。同サービスを利用することで、ユーザーはOracle Cloudの全ての機能を自社のデータセンター(DC)内で利用可能になる。また、野村総合研究所(NRI)が世界で第1号のユーザーとなることが発表されている。

ケネス・ヨハンセン CEO

 新サービスでは、セキュリティや物理的なデータ保存場所などポリシー上の要件、または遅延に対する要求が厳しく、パブリッククラウドの活用が難しかったアプリケーションの移行先として、ユーザーのDC内にOracle Cloudに相当する基盤を構築する。従来、このようなアプリケーションはオンプレミス環境や、ユーザーが専有するプライベートクラウド環境で実行されていたが、近年は運用負荷の低減や、先進的な機能の活用を目的としたパブリッククラウドとの連携のニーズが高まったことから、アプリケーションやデータをユーザーのDC外に出すことなく、パブリッククラウドと同じ機能が使えるサービスの提供に至った。

 Oracle Dedicated Region Cloud@Customerでは、サーバーやストレージといったIaaSレイヤーのみならず、ERPや人材管理などオラクルのSaaS、さらにこれまではオラクル自身のDC内で提供されてきた自律型データベースサービス「Autonomous Database」に至るまで、同社クラウドの全機能を提供し、SLA(サービス品質保証)もOracle Cloudと共通。これを実現するため、ユーザーのDC内には物理的な隔壁となる「ケージ」(カゴ)を設置し、オラクル専用の区画を設ける。電源と空調はユーザー側が用意するが、ケージ内の資産はオラクルが常駐またはリモートで管理・運用する形態となる。価格は月額50万ドル(約5400万円)からで、最低契約期間は3年。

 ヨハンセンCEOは「パブリッククラウドへの移行を進めているが、(ポリシー上の)規制、性能、遅延などの理由でオンプレミスにとどまる必要があるワークロードを抱えているお客様が対象となる」と話し、金融や公共などの業種や、オンプレミスとクラウドのハイブリッド形態を望むものの、通常のパブリッククラウドでは性能要件を満たせないワークロードを持つ顧客に向けて提案していくと説明した。

 また、ミッションクリティカルなサービスを顧客向けに提供しているパートナー向けの基盤としても活用する。今回初のユーザーとなったNRIは、証券業などの金融機関向けにSaaS型でサービスを提供しているが、その基盤を自社構築のプライベートクラウドから、自社DC内に設置するOracle Dedicated Region Cloud@Customerへ順次切り替える。NRIの竹本具城常務は「さまざまなクラウドネイティブサービスを、当社の統制ルールを適用した環境で利用できる」点がメリットであると述べるとともに、今後はインフラ運用に充てていた人材を成長領域にシフトしていく方針も明らかにした。(日高 彰)