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東芝デジタルソリューションズ 東芝のDXは「本格展開」フェーズへ島田新社長がデジタル戦略を説明

2020/07/31 09:00

週刊BCN 2020年07月27日vol.1835掲載

 東芝デジタルソリューションズ(TDSL)の島田太郎社長は7月16日、今年4月の社長就任後初めてとなる記者向け説明会をオンラインで開催し、東芝グループのデジタル戦略を担う中核会社として今後、自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を本格的に進め、ビジネスを進化させていく方針を示した。

今年4月1日付で東芝デジタルソリューションズの社長に就任した
島田太郎氏

 島田氏は、2018年10月にシーメンス日本法人の専務執行役員から転身して東芝に入社し、同社のデジタル戦略を推進してきた。TDSLの社長には取締役常務を経て今年4月に就任した。現在、東芝の執行役上席常務CDO(最高デジタル責任者)および、データから価値を創り出すことを目的として今年2月に設立された「東芝データ」の代表取締役CEOも兼務している。

 19年度から5カ年の計画で始まった東芝の中期経営計画「東芝Nextプラン」では、「サイバー・フィジカル・システム(CPS)」を経営戦略の中核に位置付けている。CPSとは、「実世界(フィジカル)におけるデータを収集し、サイバー世界でデジタル技術などを用いて分析したり、活用しやすい情報や知識に変換し、それをフィジカル側にフィードバックすることで付加価値を創造する仕組み」(同社)のことを指す。かねて提供してきた社会インフラや、POSシステム、ETCなど同社が強みとする製品・デバイスから収集される「フィジカル」データを活用し、新たなデータサービスをリカーリングモデルで提供していく。

 島田社長は、これまでにさまざまな製品・システムを提供し、「幅広い顧客とのタッチポイントを持っているが、今現在に至るまで、これらのタッチポイントを利用することができていない状況だった」と話す。CPS事業として、長年蓄積した東芝の顧客基盤や技術・製品を利用しながら高収益・高成長な事業を生みだし、「GAFA」に匹敵するような企業価値の創出を目指す。こうしたデジタル戦略を推進していく上で、TDSLは「中核的な役割を担う立場にある」とし、同社が中心となって、既存のインフラサービスのCPS化や新しいデータサービスを手掛けていくとしている。

 東芝は、CPSのテクノロジーを活用して自社のDXを実現し、顧客に提供するITソリューションも進化させることを目指す。島田社長によると、その達成に向けて同社では「DXとは何かを理解する」「実際にやってみる」「本格展開」の3段階で取り組みを推進してきており、「CDOを拝命してから1年半くらいになるが、『展開する』という領域にいよいよ入る準備が整ってきた」と話す。

 これまでに複数回のピッチ大会を開催し、数にして100件を超えるアイデアを創出したという。その中には、ユーザーが自分で機器やWebサービスを連携できるIoTプラットフォーム「ifLink」や、メーカー・サプライヤー間でサイバー空間上で車載システムの共同試作を可能にする「分散・連成シミュレーションプラットフォーム(VenetDCP)」(今年7月9日にリリース)も含まれる。100件超のアイデアのうち31のテーマについて事業化を進めているといい、こうしたアイデアから生まれた事業を今後本格展開していく方針だ。(前田幸慧)
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東芝デジタルソリューションズ=https://www.toshiba-sol.co.jp/