ネットワーク機器メーカーのFXC(谷輪重之社長)は、昨年度(2020年12月期)のロードバランサー関連事業の売り上げが前年度比で3~4割伸びた模様だ。コロナ禍でオンライン授業を余儀なくされた大学などの文教市場や、MRI(核磁気共鳴画像法)やCT(コンピューター断層撮影)といった大容量のデジタル画像を使って診断する病院市場での販売が大きく伸びた。FXCはロードバランサー製品については、アイルランド発祥のKEMPテクノロジー製を主に取り扱っており、KEMP製品の競争力の高さも売上増に貢献した。

左からKEMPテクノロジーの岸勇二・カントリーマネージャー、FXCの木村悦三・執行役員エグゼクティブコンサルタント、KEMPテクノロジーの星野晋一・セールスエンジニア

 KEMPテクノロジーの調べによれば、世界のロードバランサーの金額シェアでは、F5ネットワークスやシトリックス・システムズ、A10ネットワークスに続くものの、「仮想アプライアンスの実装件数ベースで見ると世界第2位のシェアを誇る」(KEMPテクノロジーの岸勇二・カントリーマネージャー)と話す。KEMP製品の価格競争力が国内外ユーザー企業から支持されるかたちで世界累計で2万5000社超のユーザーを獲得している。

 国内では、FXCがKEMP製品の独占販売権を取得している。専用ハードウェアによるアプライアンス製品を販売する方式と、ソフトウェアのみを販売する仮想アプライアンス方式の大きく2系統あり、ソフトウェア・アプライアンスはトラフィック量に応じて課金する「サブスクリプションモデル」の選択も可能。FXCの木村悦三・執行役員エグゼクティブコンサルタントは、「初期投資を抑えてロードバランサーを導入し、トラフィックの増減に合わせてコストを増減できる柔軟性もKEMP製品の売りの一つ」と話す。

 複数のロードバランサーを統合的に制御する「Kemp360 Central」、システム監視の「Kemp 360 Vision」などのオプション機能も充実している。ロードバランサーの稼働台数が増えてきたユーザーに向けて、より高度な管理機能をKemp360 Centralで提供。さらにもう一段上のステップとして総合的なシステム監視を求めるユーザーにKemp 360 Visionを使ってもらうなど「ユーザー企業の習熟度やトラフィック量の増加に応じてロードバランサーのシステムを段階的に高度化できる点も強みとなっている」と、KEMPテクノロジーの星野晋一・セールスエンジニアは話す。

 ある大手ネット通販会社では、商戦期にKEMPの仮想アプライアンスを導入し、パブリッククラウドの仮想サーバー上で稼働。商戦期が終わったら通常の構成に戻すことで、ロードバランサーにかかっていたコストを半減させたという。ライセンスの柔軟さと拡張性の高さを前面に押し出すことで、FXCでは今年度(21年12月期)もロードバランサー関連事業で昨年度と同様の高い伸びを目指す。(安藤章司)