米アバナードは、コロナ後のIT投資がレスポンス(対応)からリセット(見直し)、そしてリニュー(刷新)という「3R」のプロセスに沿ったものになるとの見方を示した。コロナ禍の1年余りで多くの企業はリモートワークなどの対応に追われたが、感染拡大が落ち着くと期待される向こう1年は、「緊急避難的に投資してきたITシステムの見直しをする期間」だと、同社のロドリゴ・カセルタ・成長市場担当エリアプレジデントは話す。コロナ後のIT投資の方向性が決まった後は、さらに1年ほどの時間をかけて新しいITシステムへの刷新需要のフェーズに入ると分析する。

ロドリゴ・カセルタ エリアプレジデント

 カセルタ・エリアプレジデントは、アバナード日本法人の安間裕代表取締役の上司に当たり、同社が「成長市場」と位置付ける日本、中国、オーストラリア、ASEAN、ブラジルの主要5市場を担当する役員。3Rの動きについては、「アジア太平洋全域の向こう1~2年の動き」としており、日本市場については20年9月に担当役員に就任してからの半年余りのあいだ、「主要5市場のなかで最も高い成長率」と話す。直近で伸びた最大のプラス要因はリモートワーク関連。マイクロソフト商材を主に取り扱うアバナードにとって、在宅勤務やスマートフォン対応が容易な「Microsoft 365」やビデオ会議、チャットの「Teams」などの商材が揃っていることも追い風になった。

 リモートワーク関連は緊急避難的な側面が顕著で、働き方や人事評価、報酬といった制度改革は、これから本格的な見直しがかかるとみられる。アバナード日本法人では、一足早く制度見直しに着手し、20年9月に全国47都道府県のなかから勤務地を自由に選べるようにした。国内の事業所は東京と大阪だけだが、全国どこからでもリモートで業務を行えるようにすることで、高いスキルをもった人材が地元にいながらにして遠隔地のプロジェクトに参加できるようになった。

 また、「業務アプリケーション領域においても“3R”のプロセスを踏んで見直しが進む」(カセルタ・エリアプレジデント)と、コロナ後の行動変容、市場の変化に合わせてユーザー企業自身のビジネスと業務システムを刷新。今後、コロナ禍に相当するような自然災害に見舞われ、市場環境が再び変化しても対応できる「レジリエンス(柔軟性)をもったシステム設計がポイントになる」と指摘している。

 アバナードでは、クラウド技術を積極的に取り入れることが、ユーザー企業のビジネスが変化に柔軟に適応し、事業継続の能力向上につながるとし、Dynamics 365やAzureといったクラウド技術を駆使した商材の売り込みに力を入れる。これにデータ分析やAIの技術を加えるなどしてビジネスを一段と伸ばしていく方針だ。(安藤章司)