サイボウズは5月28日に記者会見を開催し、地方銀行との協業による中小企業支援の取り組みを説明した。地銀が自行の顧客である中小企業に向けて「kintone(キントーン)」の導入を支援するコンサルティングサービスを提供しており、3年間で170社以上の実績を積み上げたという。

渡邉 光 部長

 会見では、同社の営業本部パートナー第3営業部の渡邉光・部長が地方企業と地銀の現状を説明。「地方の中小企業では、WordやExcelなど一般的なツールは利用されているが、その他のITツールを活用した生産性向上や売り上げの拡大、業務効率化ができていない。コスト面などさまざまな理由が挙げられるが、適切なアドバイザーがいないことも原因だと考えている」と話した。

 一方、企業数の減少やマイナス金利の継続といった要因を受け、本業が減益/赤字化している地銀が6割に上るという金融庁のデータに触れ、「融資以外の新たなビジネスを必要としている地銀は多い」と説明。「これらの背景に加え、地銀にITの相談をする中小企業も少なくないことから、地銀との協業体制を構築することにした」と述べた。

 地銀とのパートナーシップでは、地銀が内部にICTコンサルティングの専門部隊を新設し、行員がkintoneについて理解を深め、顧客に提案、コンサル、教育までワンストップで提供できるようにしている。複雑な案件の際は、サイボウズがその地方の同社パートナーを紹介するなどして対応するという。「kintoneはローコード・ノーコードで開発が行えるため行員にとっては覚えやすく提案しやすい。一方、企業にとっては導入~運用までが簡単に行えるなど高く評価されている」と胸を張る。

 導入事例として、鳥取銀行がコンサルティングした家具製造を行う末田(岡山県)が紹介された。同社は、紙業務が多く情報共有に課題を抱えており、ペーパーレス化を目的にkintoneを導入。その結果、57歳の内勤従業員が製作指示書アプリを作成し、70歳の作業従業員がタブレットで指示書を確認するなど仕組み化に成功したという。

 現在、協業している地銀は、滋賀銀行、北國銀行、福邦銀行、伊予銀行、鳥取銀行、山陰合同銀行、十八親和銀行の7行。今後は、カバーできていない地域の地銀を重点的にリクルーティングする。パートナーの金融機関の人材育成を行う専門機関の立ち上げや、ウェビナーによる勉強会といったサポート体制の強化にも注力する。また、他社のクラウドサービスとの連携などコンサルティング領域を拡大し、フロント業務からバックオフィス業務まで幅広く対応できるようにしていく予定だ。(岩田晃久)