キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、大学の経営や教学を調査・分析を支援する「IR(インスティテューショナル・リサーチ)」分野に参入する。同社が開発する学習管理システムや学生向け情報ポータル機能を提供する「in Campus(インキャンパス)」シリーズの製品ラインアップの一つとして「in Campus IR」の販売を今年11月下旬から始める。in Campus IRの開発や販売に際しては、大学経営や教学の専門的な知見が必要なことから、この分野で10年余りの実績があるシンクベース(大阪市、木下昌久社長)と協業する。
森下治部長
4年生大学は全国に約780校あるが、少子化の影響で入学希望者数が大学定員数を下回る“大学全入時代”が目前に迫っているとされる。大学経営にとって優秀な学生の確保は大きな経営課題であり、学生にとっても十分な質を伴う教育を受け、希望に沿った就職につなげられるかは大きな関心事。だが、現状を見ると「IRの科学的なデータに基づいて経営や教学を可視化し、評価できている大学は全体の2割未満」と、キヤノンITSの森下治・文教ソリューション営業本部第四営業部部長は見ている。
榎本将太氏
例えば、どのような学習行動をとった学生が、どのような就職に結びついたのかを分析。「授業内容を改善したり、大学の強みをより明確にする」(文教ソリューション開発本部第二開発部の榎本将太氏)などの用途を想定している。キヤノンITSでは今回のIR分野への参入によってin Campus関連事業の売り上げを2025年までに直近の2倍余りに相当する20億円規模に伸ばしていく。(安藤章司)