チームビューワージャパンは主力製品のリモート接続ソリューション「TeamViewer」シリーズの活用範囲を広げ、国内のビジネス拡大を模索している。11月11日、ディストリビューターパートナーであるSB C&Sと共同で、TeamViewerシリーズを使ってドローンの空撮映像を遠隔地に共有する実証実験を行った。チームビューワージャパンの小宮崇博・ビジネス開発部部長は「危険を伴う災害現場や、インフラの保守管理の現場などで有効に使える可能性が実証できた」と手応えを語り、SB C&Sと共同で産業用ドローンとリモート接続ソリューションを組み合わせた商材開発に取り組む可能性も示唆する。
DJIの高性能な産業用ドローンを利用
実証実験は群馬県板倉町の渡良瀬運動場で行った。20倍の光学ズームレンズや赤外線センサーを搭載したDJI製の高性能ドローンを使い、テザリング機器経由で4Gのモバイルネットワークに接続したドローンのスマートコントローラーと実験現場のホストPC、東京オフィスのPCをリモート接続。空撮映像の共有や、インタラクティブな音声通信を試みた。当日は、運動場内で活動する人の状況を、顔が識別できるレベルの高解像度なズーム映像やサーモグラフィーで確認でき、東京のオフィスともリアルタイムに問題なく映像を共有できた。
スマートコントローラーの画面。
高度約150メートルから顔が識別できるレベルのズーム撮影も可能
4G回線でもスムーズに映像を共有できた
小宮部長は「5G回線が使えれば理想的ではあったが、4Gでも高度150メートルからストレスなくリアルタイムに映像を共有できることを実証したのは大きな収穫」と話す。土砂災害などで立ち入りが困難な場所の被害状況を調査する際にドローンを活用する事例は既に一般的だが、さらに一歩踏み込んだ使い方も考えられる。ドローンによる空撮映像をリアルタイムで遠隔地に共有して、かつ遠隔地から現場に撮影の指示を送ることで「撮るべき映像が撮れていないなど、一刻を争う対応が必要な時のリスクを排除できる」という。
実証実験に参加したSB C&S ICT事業本部CAD&ドローン&AR事業推進課の長谷川裕氏も「ドローンの法人利用を包括的に支援するポータルサイトを整備したり、全国のパートナーへの支援も積極的に行ってきたが、より多様な形でドローンの価値を提案できるソリューションづくりが今後は重要になる。チームビューワーとの連携にはその意味で期待が大きい」と、実証実験の意義を強調した。
両社はTeamViewerとドローンを組み合わせたソリューションを、災害対策のほか、河川やダムなどの点検・調査向けに提案することも想定しているが、今回の実証実験を踏まえて、より多様な環境や用途をカバーできるよう検証を進めていく方針だ。(本多和幸)