アイティフォーは、中堅・中小企業向け情報セキュリティ遠隔運用アウトソーシングサービス「ランサムガード」の販売を12月から首都圏や西日本地域などでスタートした。地場の販売代理店やビジネスパートナーと連携してサービス提供地域を順次広げていく。
セキュリティツールは台湾サイクラフトのEDRサービス「CyCraft AIR」を採用し、遠隔でセキュリティ脅威を24時間体制で監視する。セキュリティに特化した24時間対応のサービスをアイティフォーが提供するのは今回が初めて。
新サービスのランサムガードは、不正侵入されたときなどにすばやく対策を打つEDRサービスのCyCraft AIRと、アイティフォーによる遠隔運用サービスを組み合わせた。ユーザーのPC端末やネットワークでの不審な振る舞いを検知し、被害が広がらないよう遠隔でネットワークから端末を切り離すなどの対策を打つ。夜間に発生した場合は遠隔で応急処置を施し、翌朝にユーザー企業の担当者が出社してから、指示に従ってより具体的な対応に乗り出せる体制を組んだ。
羽田 誠 部長
価格は端末数100台未満の契約の場合は1端末あたり月額2000円(税別)。99台契約した場合は月額19万8000円となり、ユーザー企業の従業員一人を専任で割り当てるより割安に設定した。アイティフォーの羽田誠・通信システム事業部営業一部部長は、「企業規模の小さいユーザーのなかには、セキュリティの専門知識を持った専任担当者の割り当てが難しいケースが見られ、ランサムガードはそうした中堅・中小企業向けの遠隔EDR運用サービスに仕立てた」と話す。また、実害が発生したときのために、損害保険ジャパンと連携して最大年間300万円の補償を受けられる“サイバー保険”もつけた。
CyCraft AIRは、サイクラフトがオンラインでセキュリティ脅威の情報をクラウド側に吸い上げて分析、その結果をアイティフォーのEDR運用センターに通知。運用センターからサイクラフトを通じて端末を隔離するなどの処置を、すべてオンラインでできるよう設計している。セキュリティ脅威の内容を分析し、報告書にまとめるレポート機能もAIを活用して自動化。最短数時間で報告書を自動生成する。「オンラインを主軸としたサービスとして設計され、遠隔でのEDR運用に適している」(羽田部長)ことから、今回のCyCraft AIRの採用に至った。
アイティフォーは、地銀や地方百貨店、自治体など地域の顧客を多く持ち、地方市場を重点領域の一つに位置付けている。ランサムガードの販売ターゲットを地域の中堅・中小企業とするのもその一環だ。今後は販売代理店やビジネスパートナーとの連携を強化しつつ、向こう数年で全国100社以上のユーザー獲得を目指す。(安藤章司)