日立製作所はクラウド版の統合システム運用管理「JP1 Cloud Service」の新機能として、運用統合サービス「Operations Integration(Ops I=オプスアイ)」の販売を3月31日から始める。“運用統合”とは運用方法が異なる複数のシステムを統合的に管理する手法で、「Ops Iはユーザー企業の運用手順の領域まで踏み込んだ新しいサービス」(柴田幸祐・運用マネジメント本部システム管理サービス部担当部長)と位置づける。
柴田幸祐 担当部長
従来のJP1シリーズは、あくまでもシステム運用管理の“ツール”であり、ユーザー企業の運用手順まで踏み込む製品ではなかったが、Ops Iでは、運用手順をプログラムのコードに書き込み、実行する「オペレーション・アズ・コード(運用のコード化)」の手法によって運用統合を実現。ユーザー企業の運用領域をカバーするサービスに仕上げた。
客先設置型の古い世代のシステムでは、開発した時期や用途によってシステムがサイロ化し、運用手順もシステムごとに異なるケースが多かった。既存システムを一足飛びに運用統合するのは困難であるため、「まずはクラウド上に構築された新しいサービスを主な対象とした運用手順のコード化で属人性を排除する」(加藤恵理・デジタルマーケティング部デマンドジェネレーショングループ主任技師)と、Ops Iによる運用統合を推進していく。
加藤恵理 主任技師
運用統合するメリットは、異なる世代・用途のシステムでも運用手順を共通化でき、運用担当者の負担を大幅に軽減できる点にある。運用手順が共通化できれば、これまでAシステム担当、Bシステム担当などと運用手順が異なるシステムごとに担当者を分ける必要がなくなり、効率的かつ柔軟な人員配置が可能になる。
黒瀬秀人・運用マネジメント本部システム管理サービス部主任技師は「運用品質が高まり、結果的に運用のガバナンス(統制)がききやすくなる」と、近年重視されている“サイト信頼性エンジニアリング”にも通じると指摘する。
黒瀬秀人 主任技師
今後は、運用統合とAI技術を組み合わせることでOps Iによる運用品質を一段と高度化する開発に力を入れていく方針だ。
(安藤章司)