日立製作所と西日本鉄道(西鉄)は、コロナ禍での安全な移動と経済活性化を支える実証実験を2月1日から福岡県で始める。鉄道やバス利用者の行動変容を促すWebアプリケーションを用いて、利用者に適した目的地や立ち寄り先を提案するほか、混雑を避けた行動選択を促し、移動需要の増加や商業施設への誘客効果を検証する。
利用者に適した目的地や立ち寄り先を提案し、
混雑を避けた行動選択を促す
実証実験は昨年3月に続く2回目。前回は17日間で参加者561人、天神・博多周辺を通る西鉄バスとバス停近隣の49店舗が対象だったが、今回は35日間かけて参加者1000人以上を目標に、バス路線を拡充したほか新たに電車も対象とし、店舗も3000以上にまで規模を拡大する。実証に先立ち、1月18日からユーザー登録を開始する。
今回の実証では、ユーザーの自発的な行動を活発化させる「ナッジ(促し)応用技術」を核としながら、人の行動変容を促す情報を生成できるプラットフォームを開発した。アプリからはユーザーの特性に応じた混雑回避ルートや寄り道先が提案される。日立製作所の研究開発グループ東京社会イノベーション協創センタの廣井和重・プロジェクトマネージャーは「一人一人の理想的な移動体験を実現するため、需要変化に伴う交通モードの運行最適化、環境負荷の低減、社会課題の解決を支援していく」と意気込みを語った。前回は調査会社モニターから参加者を募集し、アプリがナッジした情報に対する受容性と有効性を検証した。今回は参加者を一般募集し、機能を拡大したナッジ応用プラットフォームの行動変容に対する効果を検証する。
アプリ機能では新たな使用パラメータとして「鉄道の混雑状況」「個人の特性」「位置・時間」などの研究に注力した。廣井プロジェクトマネージャーは、「前回は利用者の特性を考慮せずに寄り道先などが提案されていたが、利用者の健康志向、嗜好なども非常に重要な要素であることが判明した。今回は立ち寄り先など利用者にとって行きやすく特性にあわせたものになり、行動変容を起こしやすいものに改善されている」と述べた。(山越 晃)