ドローン運用の基盤ソフトを開発するブルーイノベーションは、APIを介して他の業務アプリケーションとの連携を強化する。同社はドローンを制御し、データを収集、管理する運用基盤「Blue Earth Platform(BEP)」を開発しており、BEPのAPI接続機能を充実させることで業務アプリと連携しやすくする。BEPとユーザー企業先の業務アプリとのつなぎ込みはSIerが担うケースを想定し、この5月にはSIerとの本格的な協業を進める第1弾としてインテックとの間で資本業務提携を取り交わしている。
熊田貴之 社長
BEPのAPI接続によって、例えば巨大なプラントの点群データを取得し、既存のCADや測量ソフトと連携して点検業務の精度を高めたり、画像分析ソフトを活用して、カメラの映像から破損箇所や不具合の予兆を検知したりすることを想定している。熊田貴之社長は、「BEPはドローンと業務アプリをつなぐ“OS”のような役割を果たす」と、BEPをインターフェースとしてアプリを構築していくことで、ドローンがより効率的に使えるようになると話す。構築に当たっては、インテックをはじめSIerとの協業を深めていく考え。
インテックは製造や流通、公共など幅広い業種顧客をユーザーに抱えているのに加え、近年はローカル5Gなどの無線ネットワークを応用したシステム構築にも力を入れている。入り組んだ屋内では電波が届きにくいため、インテックの無線ネットワーク技術と組み合わせてドローンのよりスムーズな活動に役立てていくことも視野に入れる。
ブルーイノベーションは、発電所などのプラント、大規模な生産設備を備えた工場などの設備管理、上下水道や橋梁などの公共インフラの点検案件を多く手がける。カメラをはじめとする各種センサーをドローンに搭載し、点検したい場所に飛行してデータを収集、管理するプラットフォームとしてBEPを開発してきた。また、GPSの信号が届きにくい物流倉庫などの屋内、狭くて暗い地下施設でのドローン運用を強みとしている。
GPSが使えないことで自機の位置が特定しにくく、暗い屋内ではカメラで周囲の風景から位置を特定することも難しい。狭い場所では障害物にぶつからないよう緻密な制御が求められる。「当社のドローンを活用した設備点検のうち7割近くが屋内での案件が占める」(熊田社長)と、難易度の高い案件についての実績や技術力がユーザー企業から評価され、ここ数年の売上高は年平均で150%程度と高い伸びで推移している。
ブルーイノベーションは、ロボティクス領域を重点領域の一つに位置づけるTISと2019年に資本業務提携を交わしているほか、複数の投資会社や事業会社からの出資を受けてドローン関連ソフトの開発を進めてきた。今回、BEPのAPI接続拡充の方向性を打ち出し、SIerとの協業を本格化させたことで、より使い勝手のいいドローン活用システムの構築や、販路の拡大につなげていく構えだ。
(安藤章司)