オランダと米国に本社を置くElastic(エラスティック)は、主要3大クラウドへのネイティブ対応を加速させる。同社は企業内検索エンジンを軸に情報セキュリティやシステムの稼働状況の可観測性の機能を統合した製品「Elastic Search Platform」を開発している。近年ではAWSやAzure、GCPの3大クラウドに最適化したネイティブ対応を進めており、昨年度(2022年4月期)はクラウド対応版の売り上げが前年度比で約1.8倍に増えた。本年度も伸びの勢いが衰えていないことから、3大クラウドへのネイティブ対応を一段と強化していく。
アシュ・クルカルニ CEO
具体的には、クラウド上で運用しているデータを検索したり、ログを分析してセキュリティやシステム稼働の状況を把握したりするといった従来のオンプレミス版と同様の機能を提供するとともに、クラウド上のマーケットプレイスから数クリックでElasticを実装。導入にかかる時間を大幅に短縮できるようにする。今年1月にエラスティックCEOに就任したアシュ・クルカルニ氏は「クラウド版は需要が旺盛で、成長著しいビジネスに育っている」と手応えを感じている。
国内に向けては、販売パートナーであるSIerとの協業を深めて、業種向けのソリューションとして拡販に力を入れる。製造業のIoT機器のログ分析や、社会インフラに対するセキュリティ脅威のリアルタイム検知などへの応用を想定している。
エラスティックは日本を含む43カ国に拠点を展開。昨年度のグローバルでの売上高は、前年度比41.7%増の8億6200万ドル(1250億円)と大きく伸び、12年の創業から10年で急成長した。企業内の非構造化データの検索や、システムログなどからセキュリティ脅威の検出、システム稼働の可観測性など、関連の世界市場の規模を約11兆円とみており、クラウドネイティブ化や業種・業態への対応を販売パートナーとともに推し進めることでビジネスを伸ばす。
(安藤章司)