ATENジャパンは11月16日から18日まで、千葉県の幕張メッセで開催された放送・通信関連の展示会「Inter BEE 2022」に、今期の注力製品を出展した。同社の製品を組み合わせることで、データセンターや映像製作現場などの特殊な環境においても新しいワークスタイルを実現できることが紹介された。
「Inter BEE 2022」でのATENジャパンブース
最新製品として展示されたのは、IP-KVMエクステンダーと呼ばれる遠隔表示/操作機器の「KX9970」シリーズ。IP-KVMエクステンダーは、遠隔地にあるPCなどの画面をネットワーク経由で伝送する製品で、送信側の機器と受信側の機器で構成される。送信側にはPCの画面出力、受信側にはディスプレイを接続し、それぞれの間をイーサネットケーブルで結ぶことで、最大で100メートル(ツイストペアケーブルの場合)離れた場所にあるPCの画面を確認できる。画面に加えて、USB接続のキーボード操作情報や、スピーカーやマイクの音声信号も伝送が可能。
5K解像度に対応したIP-KVMエクステンダーの
「KX9970」
新製品のKX9970は、10ギガビットイーサネットを採用することで最大で5K(5120×2880)の解像度に対応し、遅延時間も人が知覚できない範囲に抑えられているので、画質や操作感に関する要求水準の高い映像製作現場などでも導入できる。
また、ユニークな製品として、電源リブーター「PE4104AJ」の展示も行われた。製品には電源コンセントが4ポート備え付けられており、任意のポートへの電源供給を遠隔でオン/オフすることができる。遠隔での機器操作中、機器がハングアップして反応しなくなった場合は、機器が設置されている場所まで行ってリセットボタンを押すといった操作が必要だが、電源リブーターを利用すればリモートで再起動が行える。PINGコマンドに反応しなくなった機器を自動的に再起動する機能も搭載する。
同社の製品は、映像製作や設備監視といった用途以外に、ネットワークアクセスを想定していないスタンドアローンのシステムの遠隔操作にも用いられる。被操作側のPCの画面出力とキーボード・マウス操作だけをIP-KVM製品に接続すれば、被操作側PC自体のLANポートはネットワークに接続しなくても遠隔で操作可能になる。社外からの操作が不可能だったオンプレミスのシステムを、既存の構成に変更を加えることなくリモート対応にできるため、改修困難なIT資産の使用を続けたいという顧客からもニーズがあるという。
映像製作の現場でも、最近は社内の高性能なワークステーションをサーバールームに集約し、操作は離れた自席から行うといった形態が増えているという。同社は、製品群を組み合わせることでさまざまな業種のワークスタイルを変革できるとして、販促活動に力を入れる。
(日高 彰)