経費管理クラウドを提供するコンカーは今年、管理者の目視・手作業による承認なしで経費を精算する「承認レス」方式の普及拡大に注力する。同社の三村真宗社長は「多忙な管理職が、日々申請される経費の一件一件を細かくチェックすることは難しい」と述べ、その結果として“ザル承認”が常態化している企業が少なくないと指摘。経費管理システムが申請を自動的にチェック、承認する仕組みを導入することで、不正な支出を抑制できると説明した。
三村真宗 社長
コンカーはクラウド型経費管理システムの提供に加え、証憑類の電子化を実現するための規制緩和に向けた啓発・ロビー活動などを通じて、企業における経費精算業務の効率化を支援してきた。2015年ごろから、キャッシュレス決済の普及や電子的な文書管理の制度の整備が進んだことで、同社のシステムを導入した企業の間では、現金決済の廃止や、経費精算書類の入力自動化、紙の領収書のペーパーレス化が進んでいるという。
三村社長は「“経費精算のない世界”の実現を目指す」としており、ここ1年ほどは、経費精算フローにおける、人の手による承認作業をなくすことに取り組んでいると説明。「(目視・手作業による)承認がなくなれば、企業が決めたルール通りに申請された経費は、誰も何もしなくても払い戻しまで済む」ため、経費精算業務からの解放には承認レスの導入が必須だという。ただ、同社の経費精算システムを使用している企業でも、承認レス化にはまだ高いハードルがあるとし、今年は承認レスを本格普及させるための活動に注力する。
最初から承認レスを全面的な導入することには抵抗感が高いため、初期段階では承認をいきなり自動化するのではなく、承認フローの簡素化を行う。次に、近隣交通費など一部の経費に限定して承認を自動化する。そして、承認レスの対象となる経費の種類を拡大していくというステップを踏んで、業務削減の成熟度を高めていく。社内では、承認レスに向けて顧客と伴走する「カスタマーサクセスマネージャー」職を設置している。
また、法人用クレジットカードの会員獲得のため、カード会社がクレジットカードとコンカーの導入を合わせて提案するといったケースが出てきており、このような販路拡大の取り組みも推進していくという。
(日高 彰)