スイスとシンガポールを拠点とするAcronis(アクロニス)は、昨年発表したEDRソリューション「Advanced Security+EDR」の販売に注力している。来日したパトリック・プルヴァミュラーCEOは、これまで同社が強みとしてきたバックアップ/データリカバリーソリューションと、EDRなどのセキュリティソリューションの統合を推進することでシンプルな運用を実現するとし、「アクロニスは、顧客が持っているシステムは全て保護の対象にしたいと考えている」と強調した。
パトリック・プルヴァミュラー CEO
Advanced Security+EDRは、セキュリティの専門的な知識がなくても運用できるEDR製品とすることに主眼が置かれており、企業がサイバー脅威に接したとき、管理者がどのように対処すべきかのガイダンスを表示するのが特徴。プルヴァミュラーCEOは「私たちのEDRは“ジュニアレベル”の管理者でも使えるため、人件費の高いセキュリティエンジニアを連れてくる必要はない」とした。
同製品は、ユーザー企業の情報システムの運用・管理を請け負うマネージドサービスプロバイダー(MSP)を通じて提供する。MSPが抱えている課題として、プルヴァミュラーCEOは、SaaS利用数の増加や、オンプレミスとクラウドの両方を運用する必要があることなど、顧客であるユーザー企業の環境が複雑化していると指摘。IT人材の不足も世界的な課題になっているとした上で、「(アクロニスの製品は)サイバーセキュリティからデータプロテクションまですべてのサービスを1カ所にまとめて提供することで、シンプルな運用を可能にしている」とした。
プルヴァミュラーCEOは21年より現職。「アクロニスの成長は21年以降加速しており、直近の成長率は前年同期比50%を上回っている。当社のプラットフォームを活用するパートナーの数も、1年前に比べて3倍以上に増えた。NRR(売上継続率)も業界の中で最高レベルの140%という数字が出ているが、これはアクロニスのパートナーが私たちのソリューションを気に入っていて、ビジネスを継続している結果だ」とした。加えて「(アクロニスは)もともとデータバックアップベンダーだったが、オンプレミスのデータのイメージング、クラウドのバックアップ、そして今ではMSP向けにツールボックスを提供できるようになってきている」とし、成長の手応えを示した。
パートナー向けの支援としては、適切なマーケティングツールや技術文書を提供する。また、「それぞれの国にはそれぞれコンプライアンスがあり、リモートワークの社員が働く場所のルールや規制に準拠した形で働けるようにする必要がある。現在、世界の50カ所以上にデータセンターを設けており、もちろん日本にもデータセンターはある」と語った。
日本市場に対しては「私たちは今世界の150カ所以上でビジネスをしているが、デジタル化やインフラの進化という点で見ると、日本はトップ5に入る市場だと認識している」とし、期待をにじませた。
(大畑直悠)